病み上がり決勝打! 前日16日を欠場した中日平田良介外野手(28)がまた復帰戦で試合を決める一打を放った。「日本生命セ・パ交流戦」の日本ハム戦で4回に二塁打。この1点を守る完封リレーで連敗を4で止めた。今季は3度の故障欠場後、必ず大仕事をしてきた。貧打が際立つ打線でキャプテンの存在感はズバ抜けている。

 いつもと少し違う甲高い歓声に応えるように塁上の平田は穏やかな笑みで喜びを表現した。日本ハム3連戦は「Girl‘sシリーズ 2016」と題し、女性向けのイベントが盛りだくさん。その初日、頼もしいキャプテンの姿にハートを打ち抜かれた人も、たぶんいるだろう。

 「連敗を抜け出せてよかった。打てないときもあるけど、1つのチャンスをものにして相手より点を取れれば勝てる。失投を1発で打ち返せました」

 4回。大島の左前打から1死二塁とし、メンドーサのツーシームを捉えた打球は左翼線をライナーで抜いた。これ以外の安打はビシエドの二塁打だけで、わずか3本。12球団最低の交流戦チーム打率はついに2割を切り、1割9分9厘6毛。乾いた布を絞るような1点を投手陣が守り、連敗トンネルを抜け出した。

 平田は汚名返上の活躍だった。15日夜、自宅で器具を使って疲労をとっていた際、左脚の骨に刺激を与えすぎたという。朝になっても痛みがとれず、病院で受診。松葉づえ姿で球場に戻り欠場した。休みたくない思いで行ってきた入念なケアだったが、不注意で逆効果に。今季3度目の故障欠場だ。じくじたる思いが募った。

 ただ、休んだ分は必ず取り返す。4月に股関節痛で11試合休んだあとの復帰戦は本塁打を含む2安打3打点で勝ちに導き、腰痛を発症して2試合欠場明けの11日の西武戦は決勝2ラン。それ以来の勝利だった。

 「もう休みたくない…」。帰り際、平田は静かにつぶやいた。ケガが多いのは、もちろん不本意。それでもチームが困ったときに必ずバットに魂が宿る平田は、やはり中日の顔だ。【柏原誠】