初めて全セのコーチを務めた阪神金本監督が、広島新井との丁々発止で盛り上げた。敵味方に分かれて以降、初めて同じベンチに座った。試合前練習中、わざとらしく自分の前に座ってスパイクのひもを結んだ新井に金本監督が仕掛けた。「あれはあかんぞ! 広島のプレッシャーは阪神の比じゃないないなんて」。以前、広島地区でテレビ放送された新井のコメントに強烈パンチ。新井が「そんなこと言った覚えはありませんけどねえ」と応酬すると、「広島だけの放送でも俺の親戚もみんな見とるんじゃ!」とかぶせた。

 一昨年秋に和田監督の進退が注目され、新監督候補がスポーツ紙に載った時の話題も持ち出した。「俺と矢野の名前が出た時、良太悪い、俺は先に逃げるからってカープに行ったじゃろ!」。結果的に金本監督誕生は翌年で、新井は広島に移籍した。新井は「やっぱりかわいい後輩のことを気にしてくれてるんでしょうね。いや、気になるんでしょう」とにやり。師弟愛? を再確認した監督も笑顔が絶えなかった。

 だが試合後、阪神ナインの話題には厳しい表情を浮かべた。藤浪は2回を0封したが「(抜け球に)中田翔が怖がっとったね」と苦笑い。「日々勉強。まだ大学4年生。大学に行ってたらプロに入ってないんだから」と復活の合格点は与えなかった。1安打1盗塁の高山も「どうこうないよ」と厳しめの評価。「初出場が3人か。違う空気を吸って後半気分を変えてやってくれれば」と球宴効果を期待していた。【松井清員】