25年ぶりのリーグ優勝を前日10日に決めた広島が、美酒から一夜明け、早速クライマックスシリーズ(CS)制覇へ動き始めた。11日、黒田博樹投手(41)の出場選手登録を抹消。体調を整えることを重視し、万全の状態でCSに向かわせるシフトを取った。巨人23回戦は大敗したが、CSをにらんで若手にチャンスを与えた。13日にはエクトル・ルナ内野手(36)の1軍昇格も見込まれており、日本シリーズ切符をつかむため、手を尽くす。

 歓喜に酔ったのは、1日だけだった。涙の胴上げ、笑顔のビールかけから一夜明け、黒田の表情はすでに引き締まっていた。「体を少しでも万全にしたい。クライマックスシリーズをしっかりした状態でマウンドに上がりたい」。王手をかけた7年連続2桁勝利のためには1試合でも多く登板したいところ。だが、リーグ優勝が決まっても個人成績など気にしない。次なる目標はもちろんCS突破。出場選手登録の抹消期間で疲労を軽減させ、22日阪神戦(マツダスタジアム)で戦列復帰することになりそうだ。

 あの喜びをCS制覇、日本一であと2度味わうためだ。前夜(10日)は最高の仲間と喜びを分かち合った。ビールかけでは鈴木からビールの「誠也シャワー」を浴びて泡まみれに。締めのあいさつに立ち「3度目のビールかけは松山の家でやりましょう」と笑いを誘った。祝勝ムードは深夜まで続き、テレビ局の取材が終わるころには時計の針は午前2時を過ぎていた。

 さすがにこの日はデーゲームとあって、広島ナインでも疲労の色は隠せなかった。「逆転の広島」は発動されず、巨人に敗戦。だが、その黒星の中でも、CSを見据えた動きがあった。緒方監督は「新井、黒田に限らず、レギュラーは満身創痍(そうい)。大きなけがは避けないといけない。CSの戦いはもう始まっている」と説明。新井は代打での出場のみ。菊池は8回表に代走が送られ、丸は8回裏の守備から退いた。

 さらに緒方監督は「結果と内容でいいものを見せてくれた選手はCSで使う」。この日、7番左翼で先発起用したのは2年目の野間。2安打と結果を残した。さらにチーム最多登板のジャクソンもリフレッシュを兼ねて登録を抹消。明日13日からは2軍調整中のルナを昇格させ、外国人野手2人を並べたオーダーもテストする予定だ。

 10月12日開幕のCSファイナルステージ。セ・リーグ覇者として、挑戦者を倒す準備を進めていく。【前原淳】