見えたぞ、CS! 3位DeNAが4位ヤクルトとの直接対決を11-3で制し、残り10試合でゲーム差を4・5に広げた。4番筒香嘉智外野手(24)が自身初の大台に乗せる40号3ランでダメ押し。本塁打王を争う山田哲人内野手(24)を2本差に引き離し、打点でもリーグ2位タイで山田に並んだ。これでヤクルトの自力CS進出を消滅させた。球団初CSとともに、個人タイトル2冠も射程圏内にとらえた。

 にわかに2冠が現実味を帯びてきた。4点リードの7回2死一、二塁。筒香はカウント2-1から4球目の直球を力強くはじき返した。雨空を切り裂いた打球は、歓声をまとってバックスクリーン右へ。ダメ押し3ランに「手応えはあった。今永を援護できたことがうれしい」と言葉も弾んだ。

 高卒7年目での40本到達は、「スーパースター」と尊敬する松井秀喜氏に並ぶハイペース。昨季の24本を既に大きく上回るが「数字の満足感、達成感としては、もっともっといきたい思いはある」とハングリー精神を忘れない。自身初の本塁打王へ、ヤクルト山田に1本差に迫られて迎えたカードで逆に突き放した。加えて96打点は、山田に並ぶリーグ2位となった。

 「脱・山田」で飛躍した。夏のオールスター戦以降、周囲はどうしても山田とのタイトル争いに注目する。「僕は山田と戦ってるんじゃない。DeNAベイスターズとして、チームが勝つために練習してるんです」。ふとつけたスポーツニュースで、山田が映っていればチャンネルを変えた。新聞を読んでも、個人成績表には目もくれなかった。

 代わりに毎日気に掛けたのが、チームの勝敗表だ。筒香にとっては「山田と2本差」より、「ヤクルトと4・5ゲーム差」「巨人と5ゲーム差」の方が重要だった。「タイトル争いはファンの方が楽しんでくれたらいい。次のステージへ、CSへ行くことの方が圧倒的に大事」。40号より、勝利が一番うれしかった。

 右肩違和感の梶谷や宮崎が欠場する中、エリアンが勝ち越し3ランを放つなど代役が代役で終わらない活躍を見せた。一丸となって今永を援護し、4本塁打で8得点を挙げる大勝。シーズン残り10試合。筒香が象徴する好打のラミチャンス打線は、視界にとらえたチャンスを絶対に離さない。【鎌田良美】

 ▼筒香が今季40号を放った。シーズン40本以上は13年バレンティン(ヤクルト)60本とブランコ(DeNA)41本以来で、日本人選手としては11年中村(西武)48本以来、5年ぶり。DeNAでは03年ウッズ40本、04年ウッズ45本、多村40本、08年村田46本、13年ブランコ41本に次いで5人、6度目だ。91年生まれの筒香は今年25歳。40本塁打の最年少記録は63年王(巨人)85年秋山(西武)の23歳で、25歳以下のシーズンでは9人、13度目。松井(巨人)や中村も初めて40本打ったのは高卒7年目の25歳シーズンだった。また、これまで40本塁打以上は大正と昭和生まれの選手で、筒香は「平成生まれ第1号」となった。