日本ハムの「ちょい悪ルーキー」加藤貴之投手(24)が快投で、最終決戦に弾みを付けた。5回まで2四球も、要所を締め無安打無失点。6回1死で岡田の中前打でこの日初安打も、無失点で中継ぎ陣につないだ。6回0封で8月21日ソフトバンク戦以来、4試合ぶりの6勝目。栗山英樹監督(55)から「ヤンチャ性」を高く評価されている新戦力が、明日21日からの首位ソフトバンク戦(ヤフオクドーム)へ勢いづけた。

 白熱のペナントレースに、武勇伝を刻んだ。ルーキー加藤が、ロッテ打線をシャットアウトした。鋭く角度ついた眉を微動だにせず、流れるようなテンポで攻めた。5回まで2四球も、無安打無失点の快投。6回1死、岡田の中前打でこの日初安打も「どうせ打たれる」と強気を貫き、要所を締めた。6回1安打無失点で6勝目。「自分の力は前回よりあった。やるしかないので、強気でいきました」と堂々の心意気を、前面に押し出した。

 背信のループを、静かな闘志で抜け出した。8月21日ソフトバンク戦を最後に、白星から見放された。前回11日楽天戦では自己ワースト6失点のKO。1回から2者連続弾などサンドバッグ状態で、試合後は報道陣の問いかけに無言を貫くほど傷は深かった。「ふがいない投球で、ずっと不安があった」。弱気な己にムチを打って、開き直った。吉井、黒木投手コーチと体の使い方を見直す「ヒミツの特訓」に励み、白星を勝ち取った。

 指揮官も太鼓判を押す「ヤンチャキャラ」が、大一番で光った。この日は中島とお立ち台に登場も、ひょうひょうとした表情。「お立ち台に上がらなくてもいい。そこを目指していないので」と貫禄を漂わせる。千葉・南房総市出身で実家は牧場を営む。減少傾向にある家業にも「あんな大変な仕事はしない」と、野球に人生を懸ける覚悟を決めている。私服ではイタリアブランド「アルマーニ」を好みイカつさ満点。栗山監督は「ヤンチャ性を、こっちは評価している。思い切りの良さは面白かった」と強心臓を高評価した。

 ソフトバンクが引き分けたため、ゲーム差0。勝率3厘差で順位は2位のまま、明日21日からのソフトバンクとの直接対決に挑む。「(優勝争いへ)深く考えるのは主軸選手でいい。僕は本当に目の前の試合だけ」。肝の据わった新戦力が、未知なる逆転Vロードを突っ走る。【田中彩友美】