「超変革」元年に確かな足跡を残した。阪神北條史也内野手(22)が4年目で初のシーズン100安打に達した。3回にプロ初の2試合連発となる5号ソロを放ち、6回は右越え二塁打。阪神で高卒4年目以内の100安打は93年4年目の新庄剛志以来。藤田平、掛布雅之の大打者もクリアしている若年3桁安打に、来季以降の楽しみが膨らむ。

 若き日の「猛虎のレジェンド」に、北條が肩を並べた。6回だ。先頭打者で、中日吉見の外角130キロ変化球を逆らわずに流し打った。打球はナゴヤドームの右中間を破り、ワンバウンドでフェンスにドスン。悠々と二塁に達した。高卒4年目でのシーズン100安打。区切りの瞬間を北條はクールな表情で迎えた。

 「アウトコースを狙って、いい感じで打てたので。ホームラン打った後の打席を大事にしようと思っていました」

 シーズン100安打。平凡に見える数字だが、球団で高卒4年目までに達成した選手はドラフト制後で藤田平、掛布雅之、新庄剛志の3人のみ。「打率を上げることなんで。ヒット数はそこまで考えてないです」と当人は気にも留めない様子だったが、球団史に名を残す男たちの列伝に加わった。王手をかける一打は3回だ。22日広島戦から2戦連発となる左翼への5号ソロ。広島ジョンソン、そして吉見と好投手から放ったアーチが、100安打の節目に頼もしさを補完する。

 実は100安打目の二塁打こそが、北條が追い求める理想の形だ。「自分は中距離打者なんで。二塁打をいつも打ちたいと思ってます。二塁打はいい当たりじゃないといけないですし、チームのチャンスにそのままなるんで」。

 ひそかに目指す記録がある。それは光星学院(現八戸学院光星)の先輩、巨人坂本がブレークした高卒2年目にマークした24二塁打だ。同じ右打ちの遊撃手。長打も打てる坂本のプレースタイルは理想像だ。同じ成長曲線に憧れる。「もうちょっとじゃないですかね。抜けたらいいですけどね」。この日の二塁打が23本目。年数こそ違うが“先輩超え”も北條の燃える材料になる。

 初の1軍スタートとなったが、開幕当初はベンチ要員。それから約半年。強化指定選手に指名され、金本監督らに早出練習で鍛え上げられた。金本監督も「小さくまとめ込むな、できるだけ大きくと、片岡(打撃コーチ)がやってくれている成果が出たんじゃないかな」。不振の鳥谷に代わって遊撃を守るようになり、出番が増えた「超変革元年」。未来のタイガースを担う若虎たちは、確実に芽を出している。【梶本長之】

 ◆北條史也(ほうじょう・ふみや)1994年(平6)7月29日、大阪出身。光星学院(現八戸学院光星)の主砲として12年甲子園では春夏決勝で藤浪の大阪桐蔭に敗れる。同年ドラフト2位で入団。昨年5月28日楽天戦(甲子園)に1軍デビュー(代打で一邪飛)も出場はその1試合のみ。177センチ、76キロ。右投げ右打ち。推定年俸730万円。