豪快な一撃で再スタートを切った。DeNA筒香嘉智外野手(24)が、8日から始まるクライマックスシリーズ(CS)に向けた練習試合、社会人のJX-ENEOS戦に「4番・左翼」で先発出場。1本塁打を含む3打数2安打で格の違いを見せつけた。この日、セ・リーグの全日程が終わり、44本塁打、110打点で2冠を獲得した。この先は3冠目…日本一というチームタイトルを目指して戦う。

 異次元の打球がバックスクリーンに直撃した。2回無死。筒香が完璧な1発を放った。データのない初対戦の相手投手も関係ない。カウント3-1からの5球目、146キロ直球を豪快に振り抜いた。「初めての投手だし、ボールを見たこともない。相手のことを考えずに打席に入れるから、逆に自分のずれているところとかが分かりやすい」。打席を振り返る表情は、もはや貫禄しか漂っていない。

 44本塁打、110打点で、プロ初となる個人タイトル獲得が決まった。筒香は「1人の力ではどうにもならないもの。周りの方たちのおかげというのが強い。感謝しています」と周囲のサポートに頭を下げる。同時に「プロ野球選手である以上、数字で評価されるのは当たり前。数字に責任を持たなければいけない」とも付け加えた。自身も打撃部門のタイトルを総なめしてきたラミレス監督からも「いい選手から、すごい選手になった。誰にも奪えない唯一のものを手にした」と、最上級の賛辞を贈られた。

 ただ、筒香は次なる「冠」にしか興味を持っていない。巨人とのCSファーストステージが8日から始まる。「優勝できなかったという現実がある。スタンドを埋めてくれたファンに恩返しするためにもいい姿を見せたい。チームとしてのタイトルを全力で勝ち取りたい」と、“3冠目”の奪取を強く誓った。

 日本の頂点に到達するためには、CSを勝ち抜かなければならない。本番まで3試合の練習試合が残っており「コンディションを整えて、いい状態で入れるように最高の準備をしたい」。異次元を進む「ハマの主砲」が、最大のタイトルだけに照準を合わせた。【為田聡史】