阪神が今オフのFA補強をにらみ、候補選手の獲得調査に本腰を入れることが4日、分かった。注目は今季国内FA権を取得した日本ハム陽岱鋼外野手(29)やオリックス糸井嘉男外野手(35)。1発長打があって足もある1、3番タイプは補強ポイントの1つ。国内FA権を取得したDeNA山口俊投手(29)をはじめ、幅広く調査を本格化させる。

 金本阪神がFA補強の獲得調査に本腰を入れる。今オフは特に、実績のある外野手が続々と権利を獲得した。阪神がターゲットの中心に置くのは日本ハム陽岱鋼とオリックス糸井だ。

 陽岱鋼は8月に右肋骨(ろっこつ)にヒビが入る大けがを負いながら、打率2割9分3厘、14本塁打、61打点でチーム4年ぶりのリーグ優勝に貢献した。シーズン終了翌日の9月30日、「野球選手として他球団の評価は気になるので、話を聞きたい気持ちもあるけど、まだ分からない」と権利行使について含みを持たせており、阪神は動向に注目。FA宣言すれば獲得参戦に乗り出す有力な対象として、調査を本格化させる方針だ。

 魅力はなんといっても1発長打と快足だ。14年に自己最多の25本塁打。今季も4割3分の長打率をマークしたパンチ力は健在だ。13年には盗塁王も獲得し、ゴールデングラブ賞を3度受賞した外野守備も日本屈指といえる。今季の阪神は打順を固定できなかったが、鍵となる1番や3番を任せるにはうってつけ。外野が広い甲子園で要となる中堅守備も安泰になる。盗塁も鳥谷の13個が最多だっただけに、すべての弱点を補える存在といえる。

 陽岱鋼はオリックスも獲得調査をしていることが判明しており、宣言すれば争奪戦は必至の気配だ。

 もちろんオリックス糸井にも熱い視線を注いでいる。打率3割6厘、17本塁打、70打点の好成績に加え、35歳にしてこの日、初の盗塁王が確定。陽岱鋼と同じく1発長打と快足が魅力で、1番や3番、そして中堅を任せられる素材だ。糸井もFA権行使を検討していることが判明しており、宣言すれば獲得に乗り出す有力な候補。陽岱鋼と同じく争奪戦になる可能性も高いだけに、多角的に調査を進めていく。

 FA宣言した選手との交渉が可能になるのは日本シリーズ終了後で、最短でも11月9日。まだ1カ月以上ある時間を利用して、DeNA山口、ソフトバンク森福ら、他のFA選手の調査にも力を入れる。同時進行で、守護神&4番を打てる外国人補強にも乗り出す。4年ぶりのBクラスに甘んじたチームにとって、来季優勝は何としても果たしたい大目標。そのメンバーはどんな顔ぶれになっていくのか。補強ポイントのピースを埋める作業が加速していく。

 ◆陽岱鋼(よう・だいかん)1987年1月17日、台湾出身。福岡第一から05年高校生ドラフト1巡目指名で日本ハム入団。高校通算39本塁打と俊足、強肩で、当時高校NO・1遊撃手としてメジャーも興味を示した。プロ入り後は外野にも挑戦し12年から外野手登録。13年から背番号1。同年盗塁王、ゴールデングラブ賞3度。183センチ、89キロ。右投げ右打ち。推定年俸は1億6000万円。