巨人鈴木尚広外野手(38)が13日、今季限りでの現役引退を発表し、都内のホテルで会見を行った。冒頭で「シーズンが続いている中で私の去就でお騒がせしてしまい、申し訳ございません」と頭を下げた。

 延長戦の末に敗戦した10日のDeNAとのクライマックスシリーズ・ファーストステージ第3戦後に引退を決断したと告白。「体力的、技術的には上がっていますが、心が離れていった。僕の仕事は一発勝負。心技体、1つ欠ければ勝負できない。プロフェッショナルとしての生きざまができなくなった時が引き際なんだ、と。1年間積み重なってきたものが出た。すべての条件がそろってないと勝負できないと感じた。すっきりした、そのひと言に尽きると思います。もう悔いはありません」と笑顔で説明した。

 鈴木は96年ドラフト4位で入団。プロ入り5年間は1軍出場がなかったが、代走で出場機会を得た。「神の足」と称される走塁技術で活躍。今季は10盗塁と12年連続2ケタ盗塁を記録。巨人一筋20年で通算228盗塁、通算盗塁数は成功率8割2分9厘は歴代トップ(200盗塁以上)を記録した。

 代走としての才能を開花させてくれた原辰徳前監督には「感謝しきれないほどのたくさんの思い出がありますし、原前監督に出会ってなければ今の僕は存在しない。僕の野球人生において欠かせない重要な方と思っています」。ファンにも「実を言うと相当プレッシャーでしたね。『走れ 走れ』というのが聞こえてくると、何かせかされているようで。でも(盗塁)成功率も、あの歓声がなかったらもっと低かったと思う。僕にとって最大の武器でした」と感謝した。