巨人大田泰示外野手(26)公文克彦投手(24)と、日本ハム吉川光夫投手(28)石川慎吾外野手(23)の2対2のトレードが2日、両軍から発表された。先発補強を目指していた巨人はエース級の左腕を、若手の大砲候補を探していた日本ハムは未完の大器を獲得することに成功。実績からすれば「格差トレード」で巨人にお得感がにじみ出ているが、両軍の思惑が合致。ウィンウィンの補強の背景を解説する。

 覇権奪回を目指す名門と今季の覇者が17年の進化に向けて大胆に動いた。屈指の潜在能力を秘める大田と、12年のパ・リーグMVPにも輝いた本格派左腕の吉川を基軸とし、変則左腕の公文とパンチ力ある石川慎を絡めたトレードが、日本シリーズ終了から4日後に公となった。

 一般的にトレードは実力、年俸的に均衡を取る。年俸は大田2100万円対吉川9500万円(推定)。4者を絡めても格差は是正されない。大田は周知の逸材だが、レギュラー歴がない。一方で吉川は最優秀防御率も含めたタイトルホルダーでもある。MVP受賞歴のある選手のトレードは97年の石井丈が西武から日本ハムに移籍して以来。近年では異例ともいえる不均衡なトレードにも見える。

 だが両者の思惑が絡み合えば、溝は埋まっていく。巨人堤GMは「プロ野球選手は1軍のステージでやってなんぼ。泰示(大田)も公文も1軍でぜひと請われて行くし、こっちも(吉川、石川慎を)請うている。新陳代謝とか簡単な言葉で締めくくられるものではない」と決断への思いを口にした。来季の両軍の行方を占うトレードとなるかもしれない。

 ◆自軍のドラフト1位級同士のトレード 07年6月に清水、木元(日本ハム)と歌藤、萩原(オリックス)が2対2でトレード。清水は97年1位、歌藤は03年自由枠で入団。00年10月の阪神と近鉄の3対3トレードには90年1位の湯舟(阪神)と93年1位の酒井(近鉄)が含まれていた。巨人では73年1月にあった渡辺、小坂と高橋善(日拓)の2対1以来。小坂が69年1位、高橋善は66年1位だった。