後輩に、ノムさんの教えを伝授した。日本ハムの育成対象選手向けの講義が11日、千葉・鎌ケ谷でスタート。3日連続の初日は、今季限りで現役を引退した武田勝が講師を務めた。「僕が一番生きたのは野村監督の教え。シダックスの3年間は大きかった」と、社会人のシダックス時代に指導を受けた野村克也氏(81)の教えを伝えた。

 伝えたい思いがあふれた。「小事が大事を生む。小さいことからコツコツ積み重ねて、大きな目標に向かっていく」。通算82勝を挙げた左腕のプロ野球人生の支えとなった恩師の言葉。前日10日には1日がかりで同氏の著書3冊を読み返した。今でも胸に残っている教えを、あらためてかみしめた。講義で紹介すると、メモを取る選手の姿もあったのがうれしかった。

 選手の心にも届いた。2年目左腕、瀬川は「同じ社会人上がりで境遇が似ているので、ためになった。心に閉じこめた」と、かつての先輩と同じように心に刻んだ。無事に務め上げた武田勝は「これは決してパクリではないので。教わったことなので」と、冗談を交え講師役を振り返った。「選手のお守り代わりになってもらえれば」と願っていた。【保坂果那】