巨人から育成枠で1位指名されたルートインBCリーグ新潟の高井俊(すぐる)投手(21)が17日、新潟市内のホテルで仮契約を結んだ。支度金300万円、年俸240万円(金額は推定)。背番号は「011」に決まった。最速152キロを誇る剛腕は、将来的には160キロ超えにも意欲満々。23日に本拠地・東京ドームで開かれる巨人のファン感謝デー(ファンフェスタ2016)で、新入団選手の1人としてお披露目される。

 巨人の帽子をかぶった高井は、飛びっきりの笑顔を見せた。仮契約後、開口一番の言い間違いが、内面の強い決意を物語っていた。「きょう仮契約をさせていただいて、巨人の1軍に…。あっ、1軍じゃない。一員になれた、という思いです」。年俸は育成選手の最低保障となる240万円。3桁の背番号011から、1軍へはい上がっていく決心を新たにした。

 ダイナミックなフォームから投げ込む直球は最速152キロ。ドジャースなどで活躍した元大リーガーの野茂英雄氏(48)を手本にした大きなフォームが持ち味だ。東北高3年の5月に1カ月間試して挫折したが、新潟に入団した昨年6月に再挑戦。下半身を強化してフォームが安定し、今年5月の楽天ファーム戦で152キロをマークした。新潟入団時の146キロから球速は6キロアップし、「直球で押していく投球スタイル。気持ちを前面に出した投球が売り」と言う。

 自由枠で巨人に入団した先輩も、高井の潜在能力に太鼓判を押した。今季1年を通して注目してきた野間口貴彦調査担当(33)は「支配下のドラフトに掛かった投手より、もしかしたら強いボールを投げられるのではないか、というのが彼の魅力」と期待した。高井ももちろん、スピードにはこだわっていく。「自分の中に限界を作らない。160キロ出したら161キロを追求する。日本で一番、強い球を投げる投手になりたい」。

 ドラフト指名後も、長岡市の越路河川公園球場で自主トレを重ねてきた。ダッシュ系統の練習を増やし、スタミナアップを図ってきた。「体をもっと大きくしたい」。調理専門学校で学び、調理師免許を取得しただけに栄養管理はお手の物。23日のファン感謝デーで巨人のユニホームに袖を通し、12月1日からは早くも合同自主トレに参加する。「1軍に上がりたい」という高井の助走は、もう始まっている。【涌井幹雄】

 ◆高井俊(たかい・すぐる)1995年(平7)8月22日生まれ、見附市出身。野球は今町小2年から始め、高校は東北(宮城)でプレー。卒業後は悠久山栄養調理専門学校に進み、調理師免許を取得。軟式野球のクラブチームを経て14年11月にBC新潟のトライアウトに合格。15年に入団し、16年シーズンは34試合で3敗6セーブ。37投球回で37奪三振。防御率5・11。180センチ、78キロ。右投げ右打ち。