業績悪化に伴う経営合理化で休部を発表したJR北海道野球部が、クラブチームで再出発した。平成28年度北海道社会人野球ベストナイン連盟表彰式が4日、札幌市内で行われ、受賞したJR北海道のエース戸田公星(こうせい)投手(28)らが出席。1日に「JR北海道硬式野球クラブ」として発足した後継クラブチームでの、都市対抗野球や日本選手権出場を誓った。

 あまりに突然の休部発表から1カ月、エース戸田の気持ちは完全に吹っ切れていた。「残留する方向が基本線。まだ野球ができる環境をつくっていただいたので感謝したい」と、表情を引き締めた。

 発表翌日は、新聞各社の大きな見出しをみて、チーム全体に不安が広がった。「僕はやめます」と、若手を中心に離脱の意思を口にする選手もいた。13年秋から春にかけての公式戦参加自粛も経験した戸田は「年が上の方なので、あたふたせず、動揺を見せないようにした」という。

 1日にはクラブチームとしての登録が完了した。11月21日からは練習が夜8時からの1日2時間、週4日に限定された。午後5時35分までの勤務後、手稲から千歳まで約50キロの範囲に広がるメンバーが合流する。戸田は「仕事後も、練習後もおなかがすく。夕食を食べるタイミングが難しい」と悩みを明かす。

 恵庭のグラウンドが使用できないオフ期間は、札幌近郊の体育館など数カ所を回る。年間活動費は約4000万円から後援会で集める2000万円ほどに減額。狐塚賢浩監督(50)は「本州での大会参加や練習試合を削ることになる」と厳しい財政事情を話す。

 それでも指揮官らが数回の個別面談を行った結果、大半が残留を決めた。移籍や引退の可能性を残すメンバーは数人いるが、入団の内定している新人入団選手4人は全員が入部の見込みだ。主将の嶋田源太郎遊撃手(27)は壇上で「これからも一生懸命努力し、精進して参ります」とスピーチ。戸田も「来年も都市対抗や日本選手権に出られるようにがんばりたい」と意気込んだ。「JR北海道硬式野球クラブ」の歴史が始まった。【中島洋尚】