日本ハムから国内フリーエージェント(FA)権を行使した陽岱鋼外野手(29)の巨人入りが6日、決定的になった。獲得に名乗りを上げていたオリックスに断りの連絡があり、楽天は本格的な交渉にまで至らなかったとみられる。巨人は4年総額10億円程度の条件を提示した模様。3年7億円の山口俊、2年4億円の森福に続き、1シーズンでのFA3選手獲得となれば史上初。総額21億円にも上るとみられる世紀の大補強で、3年ぶりのリーグ制覇に向けて着実に態勢を整える。(金額は推定)

 巨人が陽への獲得オファーを公表してから2日後、争奪戦が一気に動いた。6日、オリックスに陽サイドから断りの連絡が入った。楽天も獲得に動いていたが、本格的な交渉の席まで発展しなかった模様。陽が重視していたとされる住環境や母国台湾との利便性などが合致して大本命と目されていた巨人が、ラブコールを実らせたようだ。

 近年抱えてきた課題が、陽の加入で一気に解消する。巨人では希少な右打ちの外野手で、機動力とパンチ力に加えて勝負強さも兼ね備える。1、3番の上位を託すことが可能だ。守備面でも今季は流動的だったセンターを本職としており、ゴールデングラブ賞4度と守備力は折り紙付き。センターラインは強化され、長野との右中間コンビ結成となれば、外野は強固な布陣になる。堤GMが「今年は固定できなかったセンターにはまるし、打線の軸になる」と話していたとおり、コンディションさえ整えば年間を通して攻守での戦力アップが期待できる。

 今オフ、巨人は球団史に残る大補強を敢行している。11月上旬には日本ハムから先発左腕の吉川光と、右の外野手で成長株の石川をトレードで獲得。今月4日には13年楽天日本一の立役者の1人のケーシー・マギー内野手(34=タイガース)の加入を発表し、4番候補の入団で打線に重厚感を増した。

 FA戦線では、すでに先発右腕の山口俊とセットアッパー候補の左腕森福の獲得に成功。陽を加えた史上初のFA3選手補強という大改革も完了間近だ。かつて、高橋監督は「どんな形になっても勝たなくちゃいけない」と大補強に使命感をあらたにしていた。総力を結集した巨人が、常勝軍団復活への階段を着実に上がっていく。

 ◆FAの獲得人数 その年のFA宣言選手が20人以下の場合、1球団の獲得上限は2人までだが、宣言選手の旧球団での年俸順位をAランク(1~3位)Bランク(4~10位)Cランク(11位以下)に分け、Cランクの選手には人数制限が適用されない。森福はCランクのため3人獲得が可能となる。昨年まで1球団が同一オフシーズンに3人以上獲得した例はない。