中日は2リーグ制後初の4年連続Bクラスに沈んだ。黄金期の「清算」ともいえる期間だった。コストカットや急速な世代交代を断行。戦力を補うためのドラフトは即効性がなく、外国人を含めた補強も効果的ではなかった。手当てが追いつかなかった。

 短期に見れば、フロント体制が低迷期を招いた大きな原因になった。その意味でも、落合GMの退団決定を受けて、来季以降どういう球団作りをしていくのか、興味が尽きない。

 変革の兆候は1年前にあった。2億円近い年俸でビシエドを獲得したことだ。開幕月のMVPに輝く大活躍で序盤を引っ張った。中距離打者のナニータやエルナンデスにはない、一振りで展開を変える力があった。「核」の重要性を再認識できたのが大きい。

 森監督は「安い外国人をたくさん連れてきて、その中で何人か出てきてくれたらというのは、ある程度の日本人がいたからできたこと」と本格的な方針転換を宣言。4番を打てる人材がいないなら、コストをかけて外から獲得する。今オフ、推定1億5000万円で主軸候補のゲレーロと契約したのも同じ流れから。今オフは投手補強にも十分な予算を割いている。

 来季の戦力は間違いなくアップする。大島、平田のFA組も残留。投手陣の整備も進んできた。小笠原や若松ら若い世代も経験を積んでいる。あとは選手層だ。計算できる選手の数がまだ足りない。小笠原のほか、復活を目指す福谷や、高橋、鈴木、野村に新人の柳らドラフト1位組が奮起すれば、流れは変わるはず。明るい見通しとは言えずとも、V字回復の気配を感じている。【中日担当=柏原誠】