25年ぶりのリーグ優勝を飾った広島。2位巨人に17・5ゲーム差をつけるぶっちぎりの優勝だった。6月には球団32年ぶりの11連勝。流行語大賞にもなった鈴木の3戦連続決勝弾「神ってる」も生まれた。優勝するまで3連敗以上は1度だけ。シーズンで45度の逆転勝利を飾るなど緒方監督の目指す野球が形になった。

 15年は不振にあえいだ菊池、丸のキクマルコンビが復活。2人と同学年の田中も1番に定着し、上位打線を形成した。2番菊池はリーグで最多犠打と最多安打を同時に獲得。シーズン序盤はバントのサインは少なく、タナキクマルで塁上を駆け回った。2000安打を放った4番新井、軽打も身につけたエルドレッドも好調。最後まで諦めることのない気持ちが加わり、「逆転のカープ」を呼んだ。

 だが打ち勝った印象が強いが、奮闘したのはむしろ投手陣だろう。前田健太が抜けた穴を全員でカバーした。ジョンソン、最多勝の野村はもちろん、先発以外で29勝。ジャクソンと復活した今村が守護神中崎につなげた。ルナの故障にともなって4月22日から昇格させたヘーゲンズの中継ぎ起用もピタリ。その後の先発起用も含め、2年目緒方采配が光った形となった。

 来季は真価が問われる1年になる。年内の外国人の補強は中継ぎ投手1人のみ。連覇へは現有戦力の底上げが絶対条件となる。勢いで勝ち続けた印象が強いが、16年シーズンの後半には明るい材料も多かった。福井、故障明けの大瀬良、新人岡田がマウンドで躍動。塹江の初登板もあった。黒田が引退し2年連続で投手陣の軸が抜ける。新たな軸の登場が待たれる。

 野手陣もルナが退団し三塁は安部、堂林らがしのぎを削る。外野の野間も秋季キャンプで輝いた。「神ってる」で終わるのか、黄金時代到来か。重要な1年が始まる。【広島担当=池本泰尚】