ヤクルトは、連覇を逃した。その中で光ったものは、破壊的な攻撃力だ。チーム打率は、首位広島に次ぐ2位の2割5分6厘。“新戦力”の働きがあった。1人目は坂口。オリックスを自由契約となり、今季から新加入。141試合で打率2割9分5厘、チームトップの155安打でリードオフマンの活躍を見せた。チームは昨季まで1番打者を固定できなかった。坂口が先頭に入ることにより、後に続く川端や山田ら主軸にチャンスを回すことが可能になった。

 2人目は、1年目で衝撃デビューを飾った広岡だ。9月29日DeNA戦(横浜)で、プロ初打席で初本塁打。みやざきフェニックスリーグの10月8日広島戦では、この日から視察に訪れた真中監督の前で1発を放った。“持っている”将来の4番候補の登場は、明るい話題となった。

 浮き彫りとなった課題は投手陣の再建にある。チーム防御率は、12球団ワーストの「4・73」。先発陣は石川、小川の8勝が最高成績で46年ぶりに2桁勝利投手が現れなかった。救援陣も課題を残した。今季途中から抑えを務めた秋吉が、防御率2点台。来日1年目のルーキも69試合で防御率3・06と平均点はクリアしたが、後に続く選手が現れなかった。

 球団は、早い時期から助っ人外国人投手の調査に乗り出した。今オフは抑え候補のギルメット、先発候補で制球力に定評があるブキャナンを獲得した。外国人の働きが鍵となることは言うまでもないが、若手の台頭も望ましいところだ。来季2年目となる期待の左腕高橋や16年ドラフト1位の寺島など、フレッシュな先発陣が加わることが出来れば、来季は違った戦い方が見られるかもしれない。【16年ヤクルト担当=栗田尚樹】