着実に力をつけてきた日本ハムの若い芽が、大きく花を咲かせたシーズンになった。新人王の高梨、1番に定着した西川ら。田中賢、増井、宮西らベテランの力との融合が、11・5ゲーム差を逆転する原動力になった。

 栗山監督は「勝つことよりも、勝ち続けることの方が難しい」と言う。今季は若さを武器に勢いに乗って戦い抜いた選手たちが、来季もその実力を発揮できるかどうかが、連覇への鍵となる。「同じ形でやっても勝てない」(同監督)。今オフ、日本一になったチームは、さらに大きく変革することを求めた。

 トレードで先発の一角・吉川を放出。FA移籍で陽岱鋼も抜けた。一方で潜在能力の高い大田を巨人から獲得し、海外での経験豊富な前インディアンス3Aの村田も加入させた。選手たちには、日本一でホッとするような隙は与えず、新たな刺激を加えた。

 大谷の起用法も連覇へ向けたキーポイントになる。今季は右手中指のマメがつぶれた影響などで、1カ月以上ローテーションから外れる時期があった。だが幸か不幸か、この期間に打者としては圧倒的な存在感でチームを勝利に導く主軸の活躍を見せた。故障なく一年間先発ローテを守ることになれば、当然、打者としての出場数は減ることになる。

 投打のバランスをどこで取ることが、チームの勝利にもっとも近づくのか。栗山監督は「いろいろ考えています」。二刀流5年目。来オフのメジャー移籍が実現すれば、日本では最後のシーズンとなる。苦楽をともにした栗山監督の起用法にも、注目が集まる。【日本ハム担当= 本間翼】