1年後はボーンと上げてもらいます! 阪神藤浪晋太郎投手(22)が27日、兵庫・西宮市の球団事務所で契約更改交渉に臨み、プロ初のダウンとなる1000万円減の年俸1億6000万円でサインした。交渉の席ではチーム全体のメリットを考え、クラブハウスのサプリメント常備を要望。来季個人目標には初のシーズン200イニング到達を掲げ、力強くリベンジを誓った。(金額は推定)

 顔色ひとつ変えない。藤浪は淡々と現実を受け止めた。4年目で初のダウンとなる1000万円減、年俸1億6000万円でサイン。「納得しました。単純に成績が落ちたので…」。7勝どまりの今季を直視し、17年のリベンジを誓った。

 藤浪 文句のつけようがないぐらい、ボーンと上げてもらえるぐらいの成績を残せたらと思っています。

 大エースへの進化を期待された1年は「迷って考えすぎた」。完璧主義がゆえに、ボールの出し入れや制球力、球質を追求した結果、怖さを失った。イニング数も目標の200には遠く及ばない169にとどまった。今オフはレンジャーズ・ダルビッシュらと合同自主トレを敢行。自己最重量の97キロまで体重を増やし、巻き返しを期している。

 藤浪 やっぱりイニングです。最低でも180。200以上投げるのが目標になる。完投数もより多いに越したことはない。30登板で毎試合7回を投げても計210イニング。30試合投げるか分からないんだから、7回以上は投げないと。

 大黒柱の自覚がある。高野球団本部長との交渉では、“ダルサプリ”についても説明した。ダルビッシュらと汗を流したジムには常にサプリメントが備わっていた。「置いてあれば飲むし意識も変わる。せっかくのトレーニングが無駄にならない」。阪神のクラブハウスに置いているサプリメント、プロテインの常備化と一層の充実を要望した。

 チームは今秋の高知キャンプ中、スポーツ栄養士の吉谷佳代氏を宿舎に招いて栄養講習会を行った。「これからもたくさんやってもらえたら、個人としてもチームとしてもいいかな、と」。チーム全体のメリットを考えた意見の数々。高野球団本部長は「検討材料にしたい。早々に話をしたい」と納得顔だった。

 藤浪 今季は4位。来年は優勝を目指して、しっかり頑張れるようにしたい。

 会見の最後は言葉に力を込めた。歓喜の美酒に酔いしれるために…。「大黒柱」らしい数字、立ち居振る舞いを、自らに課していく。【佐井陽介】

<藤浪過去の契約更改>

 ◆初更改(13年12月3日)新人で10勝し、200%増の4500万円。高卒2年目の4000万円以上は、00年西武松坂、08年楽天田中に次ぎプロ野球3人目。球団新人最高の3000万円増をゲットし、「成績以上の評価をしていただきました」とホクホク顔。

 ◆2度目(14年12月5日)2年連続2桁の11勝で89%増の8500万円。3年目では球団史上最高額を手にした。交渉では同年11月に日米野球メンバー入りした際、代表チームの食事や栄養面が充実していたことを報告。球団に「取り入れてほしいと伝えました」。

 ◆3度目(15年12月19日)自己最多の14勝で倍増の1億7000万円。4年目の球団最高も更新した。「最高年俸はあまり気にしていない。評価していただけるのはありがたいけど、そのためにやっているわけではないので」と冷静だった。