今オフ、中日を戦力外となった西川健太郎投手(23)が、30日夜TBS系テレビで放送された年末恒例番組「プロ野球戦力外通告~クビを宣告された男たち」で特集された。

 同投手は11年に星稜(石川)からドラフト2位指名を受け入団。大型右腕として期待され1年目に1軍デビュー。2年目には阪神戦で初勝利を挙げるなど将来のエース候補と期待されたが、14年と15年の開幕直前に右足内転筋を痛め、伸び悩んだ。

 15年オフには交際5年で朱里さんと結婚。今季は1軍登板がなく、妊娠していた妻の出産前に戦力外通告を受けた。5年間のプロ生活は通算21試合に登板し2勝6敗、防御率5・37だった。

 戦力外通告を受けた西川は、11月12日に甲子園で行われた12球団合同トライアウトを受験。打者3人を三振、中飛、右飛に抑え、最速も141キロをマーク。「ウチの家族も3人になるので、食べさせていかないといけない」。登板前日に妻から激励の手紙をもらい決意のマウンドで結果を残した。「奥さんにもいい報告ができるかな」と期待して朗報を待った。連絡を待つ時間は長く感じられた。静まりかえる西川の携帯電話に、妻は「胎教に悪い」と悲壮な言葉を口にした。

 トライアウトから2日経った夜、戦力外を通告された中日から打撃投手のオファーが入った。しかし、現役への望みを捨てきれず、いったん返事を保留した。

 トライアウトから4日後、1人でつりに出かけ、打撃投手で生きていく覚悟を決めた。23歳の西川は妻に「右腕で稼いでいくことに変わりはない」と打撃投手で再出発する決意を伝えた。妻からは「(現役)5年間お疲れ様でした」とねぎらいの言葉をかけられた。

 中日と打撃投手として契約した。5年間を振り返り「まだ若いけど引退は誰もが通る道。延長線上で野球に携わることができて感謝している。少しでも選手の力になれるようにサポートしたい」と話していた。