競争激化が連覇のカギだ。広島緒方孝市監督(48)が3日、今季にかける思いを激白した。昨季は25年ぶりのリーグ優勝を導いたが、連覇への道は平坦ではない。根本の野球を変えることはなく、重要視するのはは2月1日のキャンプインと同時に始まる「若い力の競争」と「心の向け方」。ライバルの大型補強にも目を向けず、泰然自若で挑む。

 笑顔での写真の要求を断った。「厳しい1年になるからね」。広島緒方監督の3年目は、険しい道のりになる。がむしゃらに追いかける立場から、追われる存在へ。「うちはとにかく目指す野球をやる。受けて立とうとは思っていない。挑戦者として向かっていく」。指揮官は気持ちの持ち方から説き始めた。

 巨人はFAで山口、森福、陽岱鋼を獲得。外国人もそろえてきた。阪神もFAで糸井を獲得するなど各球団で広島包囲網が敷かれている。「態勢も整えてくるし、早くスタートを切っている」。危機感すらにじむ表情。王者ゆえの慢心とは、遠いところにいる。

 ドラフト以外の主な補強は中継ぎの外国人投手1人だけ。球団は開幕までに野手の補強をもくろむが、指揮官はそこに多くを望まない。「やってきた野球の質を上げていきたい。そこが上げられる部分だと思っている」。簡単に凡退しない、守り勝つ野球。無安打でも得点を生む攻撃。野球の質の向上で、補強の差を埋める。

 新しい力にも期待する。この2年、シーズンは長く、険しいことを肌で感じた。「新しい若い力が出てこないと。優勝を目指す上では苦しい部分がある。まずはシーズン143試合をいかに戦いきるか、戦力の厚みが一番のポイントになる」。キャンプで評価を上げた野間、堂林。伸び盛りの下水流、安部、西川…。具体名こそ挙げなかったが、頭のなかに刻まれている。

 投手陣も「特に柱である黒田が抜けた。若い選手が出てきてもらわないと。逆にチャンスがあるわけだから」と期待する。2月1日のキャンプから入れ替えも示唆。「そういう意味で厳しいキャンプになるよ」。根本の戦い方は変わらない。「失点を少なく、チャンスで1点、1点をとっていく。17年も圧倒的な勝ちはないから」。その先に連覇、33年ぶりの日本一が待っている。【池本泰尚】