【サンライズ(米フロリダ州)8日(日本時間9日)=四竈衛】大リーグのインディアンス、レッドソックスなどで活躍したマニー・ラミレス外野手(44)が、独立リーグの四国アイランドリーグ(IL)plusの高知に入団することが決まった。同地入りしていた高知関係者との交渉がまとまり、正式契約を交わした。契約期間は当面は前期の3カ月の見込み。歴代15位となる通算555本塁打の記録を持つスラッガーが、南国土佐の地で現役復活への第1歩を踏み出すことになった。

 メジャー通算555発男の高知入りは、電撃的に決まった。約1時間半の交渉を終え、黒と赤の高知のユニホームに袖を通したラミレスは、満面に笑みを浮かべ、写真撮影に応じた。年俸など条件面は明かされていないが、メジャー19年間で総額200億円以上を手にしたラミレスにとって、金額は二の次。「できるだけ早く日本へ行きたい。早くプレーがしたいんだ」。グラウンドに立ちたいという野球少年のような純粋な思いが、日本行きを決断した最大の要因だった。

 交渉前には、高知関係者が見守る中、ドレッドヘア姿のラミレスが、ケージ内で打撃練習を披露した。メジャーでは2011年(レイズ)、マイナーを含めても14年(カブス)以来、実戦から離れているものの、44歳となった現在も引き締まった体の状態は「100%に近い」と笑う。フォームを確認しながら、約1時間にわたって打ち込む姿は、練習熱心で知られた全盛期と同じだった。

 受け入れる高知側にとっても、世界最高レベルの技術を持つ強打者の加入は、大きな財産となる。異例の渡米交渉に臨んだ北古味鈴太郎(きたこみ・りんたろう)オーナー(42)は「本物のスーパースター。最初は、本当かな、というのが本音だった」と興奮を隠せない。「最近は高知でも野球をする子供が減っている。野球振興、底辺拡大につながってくれたらうれしい」と話し、地元の活性化にも期待を寄せた。同リーグはNPBへの登竜門としての役割も担っており、ラミレス個人だけでなく、リーグ全体の注目度が高まる効果も期待できる。

 背番号は、ドジャースなどでつけた「99」に内定。今後は、ビザ取得などの手続きが済み次第、3月上旬にも来日し、チームに合流する見込みだ。レッドソックス時代の開幕戦、日米野球などで5回以上の来日経験がある親日派とはいえ、決して観光気分ではない。交渉後も素振りを繰り返していたラミレスは、早速、トレーニング施設に翌日の練習予約を入れた。

 ◆マニー・ラミレス 1972年5月30日、ドミニカ共和国生まれ。91年ドラフト1巡目(全体13位)でインディアンス入団。93年に初昇格し、99年に165打点で初タイトル。01年からレッドソックス入りし04年に本塁打王、ワールドシリーズMVP。レイズ入りした11年に2度目の薬物使用が発覚し一時引退。その後は複数球団とマイナー契約を結び、13年には台湾リーグでプレー。14年はカブス傘下マイナーで選手兼打撃コーチ。ポストシーズン通算29本塁打は歴代1位。183センチ、102キロ。右投げ右打ち。