「ファウルの達人」が侍ジャパンに加わる。日本ハム中島卓也内野手(26)が、3月に行われるワールド・ベースボール・クラシック(WBC)代表入りが濃厚なことが11日、分かった。際どいボールをカットして相手に数多く投げさせる打撃スタイルは、球数制限のある国際試合でこそ真価を発揮する。タイトルホルダーを中心に総合力の高い野手が多く選ばれている中で、独特の技術に白羽の矢が立った。

 ファウル打ちで相手の継投を狂わせる。昨年11月の強化試合(対メキシコ、オランダ)に選出された中島は、ファウルで粘る普段通りの打撃を徹底した。投手がイライラする場面も目立ち、アピールに成功した。WBCは投手の球数に細かな制限がある。先発は1次ラウンド65球、2次ラウンド80球。50球以上投げた投手は、中4日の登板間隔が必要になる。好投でも球数が達すれば交代を余儀なくされるルールなら、中島の存在価値はグッと高まる。

 昨年12月に発表された野手10人は、積極的な強打者タイプが多い。中島のいやらしさはもちろん、15年に盗塁王を獲得した俊足もチーム内では群を抜き、ここ一番での代走は大きな武器になる。不動の遊撃レギュラーである坂本に万が一の事態が起こった場合でも、高い守備力があり心配はいらない。侍ジャパンは今月下旬の発表を目指して調整中だが、野手のメンバーはほぼ確定。一芸に秀でる仕事人をジョーカーに忍ばせ、世界一奪還を目指す。

 ◆中島卓也(なかしま・たくや)1991年(平3)1月11日、福岡・糟屋郡宇美町生まれ。福岡工から08年ドラフト5位で日本ハムに入団。11年4月20日オリックス戦でプロ初出場。13年からレギュラーに定着し、15年に盗塁王、ベストナインを獲得。16年は2年連続の全試合出場を果たし、日本一に貢献した。通算652試合、411安打、打率2割4分7厘。今季年俸は1億円(推定)。176センチ、73キロ。右投げ左打ち。