西武菊池雄星投手(25)が、開幕から昨季Aクラス球団をなで切りにする。辻監督から開幕投手の最有力候補に挙げられているが、仮に開幕戦に登板すると、その後は日程上4月いっぱいまで日本ハム、プロ入り未勝利のソフトバンク、ロッテという昨季上位3チームとの対戦が続く。「そういうところに勝ってこそ認められるというのはある。任せてもらえるなら光栄」と目を光らせた。

 辻監督は開幕投手について「その後の対戦カードも考慮する」と話す。菊池は昨季、初めて開幕投手を務めた。しかし実は開幕4戦目ソフトバンク戦に先発した岸の方が、その後ソフトバンク、日本ハムとの対戦が4月下旬まで続く厳しい登板順だった。今季は違う。岸が抜けた先発陣の柱として昨季12勝の左腕に寄せられる信頼は大きい。

 13日は沖縄県内で自主トレを公開。デッドリフト(特に背筋を鍛える筋力トレ)で200キロをあげた。同行する多和田の2・5倍。プロゴルファー松山の180キロなど、他競技の世界トップ選手の数字も上回る。

 しかし菊池は「優勝するためには、有益な知識や場所はシェアするべき」と個人的な肉体強化とは別の意図を明かす。多和田、佐藤、佐野、国場ら有望株を伴い、一緒にトレーニングに励むことで投手陣の「個の力」向上もはかっている。

 昨年11月の契約更改交渉では、将来のメジャー移籍を希望している旨を球団に伝えた。この日初めてその件に言及し「そういう夢を持っていることは伝えた」と認めた。一方で「まだ力が足りないことは分かってます。今はとにかく、チームで優勝したい」と言う。

 この日はキャッチボールがてら、ノーワインドアップモーションの練習もした。球威アップよりも、捕手の返球を受けてすぐ投球動作に入れるメリットを強調。「涌井さんも岸さんも野手が守りやすいテンポで投げていた」と歴代エースのスタイルを意識する。すべてはチームを勝たせるため-。まずは昨季Aクラスを連破し、チームを開幕ダッシュさせる。【塩畑大輔】