“前倒し退寮”で範となれ! 阪神藤浪晋太郎投手(22)が年明けに退寮していたことが16日、分かった。阪神では通常、既婚などの事情がなければ、高校出身者は5年以上を寮で過ごす決まりがある。球団が1年目から4年連続で先発ローテを守り抜いた実績を評価。1年前倒しで特例を認め、出場が内定した3月のWBC、そしてシーズンで、さらなる活躍に期待だ。

 特例は期待の表れだ。藤浪が年明け早々、2軍鳴尾浜球場に隣接する虎風荘を退寮していたことが判明した。阪神では通常、既婚などの事情がなければ大学、社会人出身の選手は2年以上、高校出身の選手は5年以上を寮で過ごすルールがある。藤浪は高卒4年目を終えたところ。球団が異例の“1年前倒し退寮”を認めた。

 高野球団本部長 区別化というかね。あれだけの成績を残して自覚を持ってやってくれているので。鳴尾浜は基本、ファームの選手の集まりになる。その中で藤浪選手は1人別格。浮ついたところもない。自己管理もできる選手ですので。

 藤浪は15年オフ、球団側に自立したい意思を伝えていた。昨年12月27日にも契約更改の席で話し合い、認められた。高野球団本部長は「あえて“卒業”ということです。球界のリーダーとして、範としてやってくれると思っています」と説明。ルーキーイヤーから4年連続で先発ローテを守り抜いた実績、野球に取り組む姿勢が評価された形だ。

 14日にWBCメンバー入りが内定。この日は甲子園の球団施設で自主トレを行った。すでに3月開催のWBCをみすえて超速仕上げを宣言。好天候に恵まれれば、近日中にもブルペンに入る。「実戦で投げたいタイプなので。いつもなら5、6割の状態で実戦に入ったりしますが、もうちょっとしっかり仕上げていきたい」。キャンプイン直後の2月上旬から初実戦を踏む流れもイメージしている。

 WBCでは2番手で複数イニングを投げる「第2先発」の役割を任される見込みだ。「与えられた仕事をしっかりとできるように。中継ぎどうこうというよりも、しっかり肩を作って、シーズン中に投げるボールにより近づけることが大事になると思います」。虎の大黒柱として、侍ジャパンの一員として、自覚たっぷり。藤浪なら、特例をさらなる飛躍につなげられる。【佐井陽介】