漫画の世界のような「リズム投法」で、空振りと凡打の旋律を奏でるづら~。巨人ドラフト4位の池田駿投手(24=ヤマハ)が19日、ジャイアンツ球場のブルペンで、テンポよく30球のキャッチボールを行った。大人気の野球漫画「ドカベン」のモデルになった高校といわれる新潟明訓の出身で、趣味のピアノではクラシックを弾きこなす。投球間隔を自在に操る「投げる殿馬」。開幕1軍入りを目指して存在感を示す。

 池田の左腕が快活なリズムを刻んだ。2日連続でブルペンに小気味よいミット音が響く。セットポジションからコンパクトに腕を振り抜き、返球を受けるとすぐに次の投球へ。「基本的には間隔を空けず、ぽんぽん投げるようにしています。バッターではなく自分のリズムで投げて、主導権を握ることが大事ですから」。前日の初ブルペンに続き、1球ごとの間隔は全て10秒以内に収めた。

 テンポを操る。最も好きな曲という、ショパンの「バラード第1番」のような変調をマウンドでも体現してきた。走者なしでも西武牧田のようにクイックで投げ、時には投球間隔の規定いっぱいの15秒まで時間を引き延ばす。「クラシックは1つの曲の中に変調、転調があります。自信のあるスライダーやチェンジアップを生かすために、リズムの変化が大事になる。ピアノは弾きながら考える。投球も、バッターの様子を見ながら投げています」。繊細な指先で最速148キロの直球と変化球を使いこなし、昨年の日本選手権ではMVPに輝いた。頭の中には、0コンマ数秒の時間差で打者を攻略する譜面が何種類も存在する。