阪神掛布雅之2軍監督(61)が21日、東大阪市内で催された美津和タイガー社のトークショーに参加した。

 約100人の聴衆を前に「ファームはソフトバンクが5連覇している。3軍もあって巨大ピラミッドを持った戦力だけど、僕なりの意地がある。6連覇を阻止したい」と今季の抱負を語った。就任2年目になり、チームの底上げに全力を注ぐ。「糸井が入って、外野の一角のポジションを奪うのは高いハードルを越えないといけない。高いハードルを越えて、チーム全体のレベルが上がる。横田、江越、中谷、緒方、伊藤隼も含めて、そういう選手が糸井が入って、負けるようではダメ。追いつけ追い越せの気持ちでやらないといけない」とエールを送った。その上で「外野手でイチ押しは横田ですね。1年1年、確実に階段を上がるよう成長していけば、1、2年でいい形になって、甲子園で活躍する姿を見られると思います」と説明した。

 この日は現役時代に愛用していた美津和タイガー社のイベントだった。当時を振り返ってエピソードも披露。「毎試合、新しいソックスを履きたい。130試合、全試合出場したい目標がある。毎年、4月1日開幕なら「31」「4月1日」と(ソックスに)書いて、その試合に履く。翌日洗濯して練習で履いてね。家には130足入る引き出しがあって、最初は空っぽなんだけど、130足分が、埋まっていく」と明かした。シーズン後にはチームの後輩にプレゼントし、その母校で高校生が開会式などで履いていたのだという。

 バットにも限りない愛情を注いだ。シーズン終了後には富山県のバット工場にあいさつに行き、そこで次の年に用いるバットをオーダーしていた。「(バットの原木を)1000本、1000本、1000本とキャンプファイアのように組む。『その3000本のなかから掛布さんに来年、開幕の前に渡せる試合用のバットは10本、取れない』と。だから開幕前日は、すごく怖さに負けてしまうほど、開幕を迎えるのが怖い。10本のバットを1時間くらい寝る前に音を聞いたり、木目を見たり、グリップを握って確認したり。湿気で重くなるから、ジュラルミンケースを作ってもらっていて、そこに1本1本『また、お前に助けてもらうからね』としまって、最後の2本だけ残す。2本を抱いて寝るんです。グラブは枕の横に置いて」と秘話を披露した。「すごくわがままな注文をして、美津和タイガーが聞いてくれた」と感謝していた。