モデルチェンジした“ニューライアン”で、開幕投手を奪取だ。ヤクルトのエース小川泰弘投手(26)が24日、都内のグラウンドで投球練習し、カブスの上原浩治投手(41)から直伝された“Uフォーク”を試投した。直球以外のすべての変化球を投げたが、新兵器の手応えは上々。「去年まで落ちる球の精度がいまいち。ボクにはこれだという変化球がないので、フォークの質を上げて勝負したい」と伝家の宝刀を研ぎすませる。

 今季2度目のブルペンに入った小川が、指を広げて握ったボールを見せた。「次、フォークいきます」と捕手に告げると、バックネット裏に陣取った上原が、声を上げた。「腕を振ってな! 真っすぐを投げるより、もっと速く振るつもりで!」という“師匠”のアドバイスにうなずいて、小川は投球モーションに入った。鋭く落ちる軌道に、上原も満足そうにうなずいていた。

 昨年までのフォークの握りを「上原仕様」に変えた。今まではスプリットに近い浅めの握りで挟んでいたが、人さし指と中指の根元までボールを食い込ませ、2本の指の第1関節を曲げ、より深く、より強く挟めるスタイルにチェンジ。上原ほど指が長くないため、縫い目に指を掛けないが、リリースした後のボールの軌道が直球と同じ角度で出るように指導された。

 38球の投球のうち、フォークは5球。まだ球数は少ないが、カーブ、シュート、チェンジアップなど、持ち球の変化球の中で1番の球数だった。上原は「とにかく真っすぐと同じ腕の振りで、リリースする球の出どこが同じ角度にならないといけない。今日のフォークなら十分使える。後は打者が立って同じように投げられるかどうか」とフォークの秘訣(ひけつ)を解説した。

 小川も「去年はフォークが落ちないときがあった。今日の感じだと、空振りが取れそう。今後、キャンプで投げて、オープン戦で使っていきたいですね」と相変わらず口数は少ないが、手応えは十分の様子。他にも投げるプレートの位置を一塁側に変え、右打者の外角と左打者の内角への失投を減らせるように工夫している。昨年は8勝で2ケタ勝利を逃した小川が“ニューライアン”として巻き返しを狙っている。【小島信行】