オリックス吉田正尚外野手(23)が、陸上ハンマー投げで04年アテネ五輪金メダリストの室伏広治氏(42)からトレーニング指導を受けた。25日、室伏氏が教授を務める東京医科歯科大でトレーニングの模様を公開。互いに面識はなかったが、吉田正が手紙を送ったことがきっかけで異例のツーショットが実現した。

 室伏氏は筋力や体のバランスなどを鍛える動きを、20種類近くも丁寧に指導。投てきやバットスイングにつながる捻転運動のほか、ハンマーをぶら下げたバーベルを揺らすなど独創性にあふれたものも。内容は現役時代に自ら考えたものばかりで、今回は吉田正のためのメニューを組んだ。

 室伏氏は吉田正について「好青年で探求心があって、どうやって自分がさらに強くなるのかといつも頭に置いてトレーニングや治療をしている。人任せになるアスリートがいる中で大変立派。投てき競技もやって欲しいが、野球に向いていると思う。下半身がどっしりしているし、動きの中で物を持たせたりかつがせたりすると、下半身のスタンスをいつも意識している」と印象を語った。

 さらに「アスリートは自分の体を知らないと向上はない。体の部位でどこが凝っていて、左右差はどうかとか。今回は体をほぐしたり、どういうところが悪いのかというところからスタートした。バランス良く、あらゆる方向から鍛えることが大事。まず今年は年間通して安定した成績を残すこと。その先に飛躍が見える」など含蓄あるアドバイスを送った。今後も可能な限りサポートを継続していくという。

 吉田正はルーキーだった昨年、腰痛などで4カ月の離脱期間がありながら10本塁打をマーク。故障しない体づくりを主なテーマに室伏氏に弟子入りした。尊敬する人物から指導を受けたことに「感慨深い。五輪の仕事もされてお忙しいのに、スタッフの方も時間をつくってくださってとても感謝しています。今年1年間戦って、いい報告ができるようにしたい。全身を鍛えてバランスのいい体を目指したい」と感謝した。