赤松とともに戦う!! 昨季セ・リーグを制した広島ナインが1月31日、キャンプ地宮崎・日南市に入った。選手会長の小窪哲也内野手(31)は昨年12月に胃がんを告白した赤松真人外野手(34)のユニホームを持参。一塁側ベンチなどに掛けて共に戦うことを明かした。連覇と33年ぶりの日本一を目指すチームに赤松の存在は「不可欠」と語った。

 選手会長の小窪はスーツケースから背番号38番のユニホームを取り出した。「一塁ベンチかロッカーに掛けておこうと思って」。昨年12月に「胃がん」を患っていることを公表した赤松のレプリカユニホームだ。「去年の一体感を思い出すと、やっぱりその中には赤松さんがいる。昨年以上を目指す僕たちなので、赤松さんも一緒に戦ってもらわないと」。そう言うと、静かにハンガーを通した。

 1月上旬に手術を受けて16日に退院した赤松とはキャンプ前に顔を合わせた。先輩が前例のない戦いに挑んでいた。「一番ここに戻って来たいと思っているのは赤松さん」。簡単な言葉はかけられなかった。「僕たちに何が出来るか。苦しいとき、つらいときに見て、赤松さんの明るさと笑顔を思い出したい。一緒に戦って、突破したい。感じるものが必ずあるはず」。苦しいときのもう一踏ん張り。その源にもなる。

 初詣で目にした絵馬も小窪を動かした。何人ものファンが「赤松選手が完治しますように」「ダイヤモンドを走りぬける姿が見られますように」としたためていた。何か出来ないか。「僕はグラウンドには見えない力があると信じている。何か力が働けばいい」。自主トレ中もふとした時に赤松に思いを寄せる自分がいた。同じことを言うチームメートもいた。わずかでも足しになればと思った。

 選手会長に就任して以降、一貫して目指すのが「一体感」だ。「何にも変えられないものが一体感。時に実力以上のものが出るし、全員でカバー出来れば、個人が落ちずにすむ」。17年は投手陣の柱だった黒田氏が引退。連覇へは「もっともっと結束する必要がある。赤松さんの力も借りないと」。自身の技術を上げることはもちろんだが、団結を強める1カ月にもなる。「全員一丸で戦っていきます。もちろん、赤松さんを含めて」。特別なキャンプが始まる。【池本泰尚】

<主なユニホーム掲示>

 ◆長嶋日の丸 04年アテネ五輪前に、日本代表の長嶋茂雄監督が脳梗塞で入院。本番は中畑清ヘッドコーチが指揮を執り、ベンチには長嶋監督のユニホームと、自ら「3」と書いた日の丸が掲げられた。

 ◆ファンの26番 ロッテはベンチ入り25選手に次ぐ26人目の「選手」であるファンと一緒に戦う意味を込め、欠番扱いとする背番号26のユニホームを05年からベンチに掲げている。

 ◆ユニ胴上げ 12年大学野球選手権で優勝した早大は、早慶戦で左足を骨折したため欠場した佐々木孝樹主将の背番号10をベンチに掲げて戦い、ユニホームを胴上げした。