ソフトバンクのドラフト1位田中正義投手(22=創価大)が27日、宮崎キャンプを打ち上げた。23日の紅白戦で2回4四球と乱れ、現在はペースダウン中。この日は4日ぶりにキャッチボールを再開したが、次回登板は未定だ。開幕ローテーション争いも後退。試練を乗り越えるしか道は開けない。焦らず、課題を1つずつクリアしていく。

 キャンプを終えた田中に充実感はなかった。「勉強の連続。先輩方についていくだけで疲れていく1日もあった。自分のペースで動けていない日が多いなと思った」。すべてのことが初体験。連日、ファンや報道陣に囲まれ、口数が減ったこともあった。「苦手」というフィールディングでは、悪送球を連発。キャンプ中盤以降は、疲れからか自慢の直球もスピードは出ず、制球にも苦しんだ。

 この日は4日ぶりにキャッチボールを行った。フォームを気にしながら軽めに投げた。チームが宮崎に滞在する3月2日までにブルペン入りし、今後を決める。1軍に生き残るためにも、1度ペースを落とし、そこから状態を上げている。

 「ここからが本当の意味でスタート。出直してやりたい。オープン戦でしっかり投げられるように頑張ります」。気持ちを引き締めたが、開幕ローテーションへ向けての道は険しい。開幕投手の和田、WBC組のバンデンハーク、千賀、武田は確定。25日に侍ジャパンとのオープニングマッチで好投した東浜が入れば、残りは1枠。実績のある中田、摂津、2年目高橋らと争う。

 工藤監督は田中について「光るものを持っている。足りないところもあるので、しっかりトレーニングして体力的にも精神的にも強くならないと」と話す。まだB組に降格したわけではない。「オープン戦は失敗できる」と、工藤監督も実戦での機会を与えていく。開幕まで1カ月。ここからはい上がっていく。【石橋隆雄】