シーズン本番でもこんなドラマが見たいんや! 若虎打線が9回2死から試合をひっくり返す逆転劇を演じた。あとアウト1つの場面で5番中谷将大外野手(24)が左翼へ2点二塁打を放ち逆転。続く6番原口文仁捕手(25)もオープン戦1号となる3ランを左翼席に突き刺した。

 若虎軍団が土壇場で牙をむいた。3-4と1点を追う9回だ。糸原、高山の連打などで2死満塁の場面を作ると、5番中谷が中日の4番手佐藤の内角スライダーを強振。左翼フェンス上部にぶち当てる2点二塁打を放った。野球は9回2死から…。「球界の格言」を証明するかのように試合をひっくり返した。

 中谷 大事なところで1本出たんで励みになる。

 この流れに6番原口も乗っかった。なお、2死二、三塁の場面。ストライクを取りにきた初球143キロを狙った。打球はきれいな弧を描いて左翼ポール際に吸い込まれる。オープン戦1号だ。昨季はナゴヤドームで打率4割1分4厘、3本塁打。最近、元気がなかった男が「パワースポット」で息を吹き返した。

 原口 やっと、ね。向こうも逆転されて、そういうスキをしっかり一振りで仕留められた。

 終盤までは完全な中日ペースだった。6回、7回は2イニング連続でスクイズを決められて失点。特に6回は竜の新助っ人ゲレーロが走者の場面で、エンドランやスクイズといやらしい攻めを展開された。活気づく相手ベンチとは対照的にどんよりとした空気が阪神ベンチに漂った。ところが、8回に高山の2ランで、14日オリックス戦から続く0行進が21イニングでストップすると、そこから状況は一変。最終回の逆転劇へとなだれ込んだ。

 金本監督 公式戦で見たいね。優勝がかかったような試合をね。興奮して、ぶっ倒れるような試合をしてみたい。

 指揮官は冗談っぽく笑ったが、チルドレンの粘り腰がうれしくないはずがない。中谷の13打点はオープン戦12球団トップ。鍛え上げた若武者が暴れ回る姿は気分爽快だ。2週間後に迫った開幕。夢がふくらむ。【桝井聡】