楽天美馬が、土俵際で踏ん張った。ロッテ戦に先発。得点圏に2度走者を背負ったが、冷静に組み合った。2回2死二、三塁では田村に6球粘られながら、最後はスライダーで空振り三振。全体を通して、手応えをつかんだのはカーブだった。「カウントも取れたし、タイミングも外せていた」。4回2死二塁では、高浜をそのカーブで一ゴロに追いやった。

 美馬にとっては、開幕ローテーション争いを生き残る大一番だった。春季キャンプ中に腰の違和感を訴え、調整が遅れていた。「他の先発陣が結果を出している」と、焦りも感じていた。オープン戦初先発のマウンドで、4回3安打無失点。梨田監督は「出遅れていたけど、間に合いそう」と、胸をなで下ろした。

 美馬は孤独なマウンドを、土俵と重ねていた。稀勢の里の活躍が、心の支えだった。茨城・藤代中時代、隣町の長山中野球部のエースで4番だった稀勢の里とは、何度も対戦した仲。プライベートでも交流があり、「テレビをつければ、ニュースに出ている。調子良さそう。僕も何とかついていきたい」と、新横綱の連勝を刺激に、徳俵に足がかかっていた状態から息を吹き返した。【栗田尚樹】