開幕2戦連続決勝弾の巨人阿部が、3戦目は渋味の増した円熟の活躍を見せた。4回無死一、二塁。走者はフルカウントからスタートを切り、阿部も呼応して低めのボール球の直球に反応して右前適時打で1点をかえした。「スタートを切ることが分かっていたので(打つ)ゾーンを広くしてコンパクトに振った」。三振すれば併殺プレーの危険も伴うだけに高橋監督の「何とかしてくれる」の言葉に信頼度の高さが表れた。

 38歳は足でも貢献した。6回無死一、三塁の三塁走者。遊ゴロで三本間に挟まれ、粘りの切り返しで簡単にはアウトを献上せず、二、三塁の状況をつくり直した。阿部の助演が直後の代打亀井を主演男優賞に輝かせた。「挟まれて何とか頑張った」と黒子に徹した。

 打率5割4分5厘、2本塁打、8打点。3連勝の最大ヒーローだ。前日の第2戦は7回に押し出し四球を選んだが、直前に又吉の投球を左足つま先に受けていた。「当たってます」と球審にアピールしたが受け入れられず。それでも「まぁいいか」と仕切り直しで同じ結果を得た。泰然の境地で2000安打まで77本。ABEメーターのカウントダウンが優勝への道のりと直結する。【広重竜太郎】