勝てば首位阪神に0・5差に迫れたのに…。広島福井優也投手(29)が6回10安打4四死球で7失点で自滅した。2回に自らの失策で先制点を与えると、その後は四死球から失点を重ねた。2番手の高橋樹也投手(19)も5失点で今季ワーストタイの12失点。今季は野村以外の先発陣が防御率3点台以上で、再浮上には投壊の立て直しが急務だ。

 期待が大きければ大きいほど、失望感も増す。福井は結果でも、内容でも示すことができなかった。大敗した試合後の足取りは重く、その表情は悔しさやふがいなさなどの感情が充満していた。「またゼロから頑張りたい」。懸命に言葉を絞り出した。

 自滅から失点を重ねた。まずは2回。1死一、三塁で大引の投手正面への打球を捕球すると、併殺コースにもかかわらず、1度三塁走者を確認して二塁へ投げた。「あそこできっちりできていればこうはならなかった。走者が見えて慌ててしまった」。悪送球となり、先制点を許した。

 4回の失点は先頭打者への死球が引き金。ダメ押しとなる6回の3失点も1死からの連続四球がきっかけだ。2回から4イニング連続で先頭に出塁を許すなど、前回4月26日巨人戦と同じ失敗を繰り返した。打席でも3回無死一塁でスリーバント失敗。5回無死一塁ではバントが飛球となり併殺で流れを止めた。神宮では自身5連敗の鬼門だ。

 チームは2カード連続負け越し。特に投手陣が正念場を迎えている。阪神、ヤクルトと続いた6試合で、野村先発試合を除く5試合で45失点。1試合平均9失点では、5試合25得点の打線を持ってしても勝機を見いだすのは難しい。4月27日まで2点台だったチーム防御率は、一気に4・11まで跳ね上がった。

 ジョンソン、中崎が離脱する中で、福井は能力や経験から救世主候補の筆頭だ。もう若手ではない。内容とともに結果も求められた。緒方監督は「今日の負けだけで下を向くわけじゃない。投手陣、野手陣、そして我々もね。ベンチもしっかりと1試合1試合戦っていく。やれることをやっていく」と前を向いた。ただただ、主戦の復帰を待つだけでは寂しすぎる。現有戦力が意地を見せるときだ。【前原淳】