9回表2死二、三塁。西武ドラフト3位の源田壮亮内野手(24)が、オリックス塚原の145キロ直球を捉えた。投球の軌道を逆からなぞるようなセンター返し。三塁走者木村文を本塁に迎え入れた。「打席の中に入ったらいろいろ考えるなと、嶋打撃コーチに言われてます」。無心で、シンプルに振るバットから3安打2打点をマーク。この3連戦で8安打4打点5得点。6カードぶりの3連勝に導く得点源になった。

 辻監督は「源田? だから、あいつの打撃はいいって前から言ってるじゃん」と言葉を弾ませた。高い守備力を買い、春季キャンプの早い段階から「源田は遊撃のレギュラー」と公言していた。衆目は線の細さ、バットスイングの力感のなさから「打撃が課題」「2割5分打てればいいが」としていたが、その点についても「タイミングの取り方は天性。実戦になれば打てる」と断言していた。

 石毛宏典以来、球団36年ぶりの新人遊撃手の開幕スタメン。すると予言通り、しぶとく安打を放ち続けた。加えて、いすに座るような形に腰を落とす構えに変えていくと、下半身の力もスイングに込められるようになった。球威に押されてファウルになっていたボールも、しっかりとフェアグラウンドに強く打ち返せるようになってきた。

 前日13日に打率が3割を超えた。「でも、1日で2割に戻ると思ってました」。しかし、逆に3安打でさらに数字を上げ、3割1分4厘に。石毛のルーキーイヤーの「3割1分1厘」を上回った。9盗塁、4三塁打はリーグトップだ。

 母の日とあって、左手にはピンクのリストバンドをした。母の靖子さんからは、毎朝スマートフォンに激励のメッセージが送られてくる。それに返信し、育ててくれた両親にあらためて感謝するのが、試合前のルーティンだ。この日はそれに加え猛打賞、そして初のヒーローインタビューを母にプレゼントした。【塩畑大輔】

 ▼ルーキー源田が3安打、1盗塁。現在、源田は打率3割1分4厘がリーグ8位、9盗塁はリーグトップ。2リーグ制後、打率3割の新人は過去8人おり、西武では81年石毛が3割1分1厘、86年清原が3割4厘をマークした。石毛と清原は本塁打を20本以上打っているものの、盗塁は石毛が25、清原は6。「打率3割・30盗塁」を記録した新人は58年長嶋(巨人)を最後に出ていないが、源田はどうか。