ヤクルトの先発・石川雅規投手(37)が、巨人打線に雪辱を果たした。4月28日に対戦し、4回7失点。屈辱のKO負けを喫したが、リベンジ登板で5回1/3を無失点。打っても両チーム唯一の得点となる1打点をマークし、4勝目をゲット。エースの力投が、チームの2試合連続完封勝ちを演出した。

 勝利にかける執念の重みが、167センチの小さな体に宿っていた。顰蹙(ひんしゅく)は覚悟している。1点をリードした5回1死一塁、マウンドの石川が、けん制球を投げ続けた。打席には人気者の坂本勇。容赦ないブーイングが浴びせられる中、しつこいけん制球は8球。それでも、打ち気にはやる坂本勇の集中力をそいでいった。

 2-1から4球のけん制をはさんだ後だった。ファウルした坂本勇を見て、捕手の中村は確信した。「坂本さんは、じれていたと思います。ファウルの後に『あぁ』とか声が出ていましたから」と証言。ベンチからも2度、けん制球のサインが出たが、石川の意思で投げたけん制は6球もあった。「坂本に打たれるとガラッと雰囲気が変わりますから。(走者に)いいスタートを切らせたくないというのもありましたけど…」。狙い通り、最後は内角のカットボールで三ゴロ。後続も抑え、勝負どころを無失点に抑えた。

 勝ちたい思いは、バットにも乗り移った。3回1死三塁から三ゴロを放ち、1点をもぎ取った。「なんとか転がしたら1点。三塁走者の中村がよく走ってくれたおかげです」と謙虚に女房役の走塁をたたえた。6回1死二塁として、97球で近藤にマウンドを譲ったが、今季4勝目をマークした。

 前回の4月28日の巨人戦では4回で7失点。「たくさん打たれましたから、次はやり返したかった」とビデオでフォームをチェック。「ひじが下がりすぎて、腕の振りが緩んでいた。今日は思い切り投げてきます」と試合前の宣言通りの投球を披露。投げて良し、じらして良し、打って良し、フォームを直して良し。百戦錬磨の貫禄を発揮した。【小島信行】