2000安打に迫っている中日荒木雅博内野手(39)のバットと足が、連敗を3で止めた。同点の8回1死。メッセンジャーの直球を捉えたライナーは左中間へ。左翼高山に押さえられたが、迷わず加速。二塁ベースに頭から飛び込んだ。平田の右越え二塁打で決勝のホームを駆け抜けた。

 「勝ちたいよ…」。3連敗した前日は疲れた表情でつぶやいた。勝利への渇望が生んだ3安打だった。ヘッドスライディングは「足が動かなかっただけ」とごまかしたが、決勝打の平田は「荒木さんの気持ちが伝わった」。野手最年長が見せた五十数メートルの“足攻”が竜をよみがえらせた。

 今季2度目の猛打賞で通算2000安打まで一気に12本に減らしたが「まだまだ全然」と個人のことには首を振る。5月に入って初めての複数安打。過去2年、5月は月間3割超と上向いた。気温の上昇に合わせて体にキレが出る。本人が感じる汗の「質」が変わってくる時期だという。

 森監督の一言がワンプレーの重さを表していた。「荒木で勝った試合だよ。いいムードを作ってくれた」。ベテランパワーで、最速で21日だった自力優勝消滅も24日に延ばした。黄金期をけん引したプロ22年目の存在感が際立つ夜だった。【柏原誠】