日本ハム浦野博司投手(27)が、本拠地・札幌ドームで709日ぶりの白星を挙げた。オリックス戦で序盤に援護を受けて粘投。5回7安打無失点で、右肩インピンジメント症候群から復帰後、自身3連勝を挙げた。「一時は2度と、この場に帰られないと思った」という、本拠地マウンド。15年6月10日巨人戦以来となる、待望の勝利を挙げた。

 帰ってきた。照れくさそうに、浦野がお立ち台でつぶやいた。「忘れられちゃったかな~と思ったんですけど…」。選手生命の断念も考えた、右肩インピンジメント症候群から今季復活。本拠地・札幌ドームで、待望の709日ぶり勝利を手にした。「声援が本当に大きくて、粘れたかな。一時は2度と、この場には帰られないと思った」。5回7安打無失点の粘投。3回には2死満塁のピンチも、大量援護が力になった。周囲の力に助けられることの大きさを、再び実感した。

 昨季1年間は、北海道から離れた千葉・鎌ケ谷の2軍施設でリハビリ。「もう栗山監督に忘れられているよ」「オレのこと、みんな誰だっけって感じでしょ」と、自暴自棄になったこともあった。単調なリハビリ生活で、近くで寄り添ってくれたトレーナーが理解者であり続けた。「つまんないリハビリでも付いていてくれた。感謝です。その人達のために…」。帰ってくる理由があった。復帰後、登板3試合目で本拠地に舞い戻った。

 栗山監督は「浦野の思い、投げっぷりがあった」と、思いは伝わった。苦い思い出であり続けた札幌ドーム。26歳のバースデー登板だった15年7月22日は、プロ最短2回途中、ワースト9失点と不名誉な記録が刻まれた。「一番悔しかった。その思いで、ずっとやってきた。勝てて良かったです」。右肩の大ケガから返り咲き、もう1つの苦い記憶を塗り替えた。再スタートの道を、かみしめながら歩んでいく。【田中彩友美】