巨人が、80年を超える栄光の歴史の中で「史上最弱」となる12連敗を喫した。なぜ栄華を誇った名門は、大失速が止まらないのか-。現場の空気を感じる日刊スポーツ巨人担当キャップ広重竜太郎記者が、屈辱的連敗の背景を記した。

 屈辱の記録は力のなさがすべてだ。そこには一切の言い訳も介在しない。首脳陣、選手が招いた結果だ。一方で、誰も経験したことのない苦境に立たされている中で看過できない事実もある。現場にしらけた空気が流れ、それを醸し出しているのが、他ならぬ球団首脳であることだ。

 老川祥一オーナーは昨年の就任から何度も試合に足を運んできた。熱心なのだろう。全体練習を終えた試合前に何度もチームに訓示を行ってきた。だが試合前、にだ。戦いに向け、首脳陣と選手が智略を張り巡らせ、心を整える時間、にだ。

 今回の連敗時の最中も、大事な時間を現場から奪った。2日の本拠地東京ドームでのオリックス戦前。高橋監督との個別での会談はチームのミーティングに差しかかろうとして、関係者が指揮官を呼びにくるほどだった。

 老川オーナーがチームを集めさせて行った訓示も、内容を伝え聞くと、違和感を覚えた。鼓舞するならいい。叱咤(しった)するなら、まだいい。だが低迷する視聴率やチケット売り上げの問題などを混在させながら勝利を強い口調で求めたという。