富士大(岩手・北東北)が立大(東京6大学)に2-6と逆転負けし、東北勢3校は全滅した。04年に優勝した東北福祉大(仙台6大学)を最後に、頂点が遠い。直近5年では準々決勝進出が最高成績だ。10年以上も遠ざかる大学日本一に足りないものは何か。

 大学日本一が遠い。最後のとりでの富士大が立大に完敗。6回に先制打を放ち、意地を見せた楠研次郎外野手(3年=東海大相模)が放った言葉に、敗因のすべてが凝縮されていた。

 「立教は6大学でやっている自信があった。そこが違う。個々の力の差を自分以外のメンバーも感じないと勝てない。メンバー表みても、立教は選手がすごい。完全に力の差ですね」。

 2点ビハインドの6回終了時点で12個の三振を奪われていた立大・熊谷敬宥主将(4年=仙台育英)は余裕の表情で振り返った。「全然焦りはなかった。残り3イニングで1点ずつ返せば逆転できると思っていた」。この落ち着きはどこから来るのか。立大は参加27チーム中、リーグ戦で最多15試合を消化。先発9人の平均打数は立大の46に対して、富士大は31。踏んだ場数の差が、そのまま勝敗につながったと言える。

 東北3校のうち、富士大と石巻専大(宮城・南東北)が勝ち点制ではなく、勝率制でリーグを戦っている。参加全27チーム中、北海道学生や九州6大学など参加校が広域にまたがる8連盟が、1勝1敗にもつれても第3戦が行われない勝率制を採用している。1試合でも多く経験させて成長を促すという意味では、試合数は非常に重要な数字だ。

 勝率制だと10試合しか行われない。勝ち点制でも10連勝すれば優勝して全日程終了だが、近年の東京6大学は力が拮抗(きっこう)しているため、自然と試合数は増えている。仙台6大学は仙台大の台頭もあり、リーグ全体の水準は上がっているが、全国で優勝を争う意味ではもっと底上げが必要だ。東北3連盟の各校がいずれもレベルアップをし、中身の濃い試合をこなして切磋琢磨(せっさたくま)を続けていけるか。全国レベルの大学は、それだけ修羅場をくぐってきていると言える。【高橋洋平】