ヤクルト荒木がまたも決勝アーチを描いた。雄平の2点中前打で同点に追いついた8回、なおも2死一、三塁だった。次打者はこの日35歳を迎えたバースデー男・大松…に代わって代打荒木。「大松さんの代打だったんでプレッシャーで。自分で決める思いでした」。ファウルでバットを折りながらも粘った8球目。「巨人時代に対戦したイメージがあった」という日本ハム公文の内角直球を左翼スタンドに放り込んだ。

 プロ8年目、どうやら時代がキテいる。今年は5月14日の中日戦でも9回、サヨナラグランドスラムを愛媛・松山の空に打ち上げた。杉村チーフ打撃コーチは「今日の本塁打はあの時の球に似ている。今年、アイツは神ってるよね」と絶賛した。

 けが人続出の打線において“名脇役”の活躍はチームを乗せる。「考えすぎず、シンプルに来た球を打つだけです」。今季3度目の3連勝をもたらしたのは、一本気な打ち気だった。【鎌田良美】