19日に全日程が終了した交流戦は、パ・リーグが通算56勝51敗1分けで、セ・リーグに8年連続勝ち越しを決めた。交流戦の検証と、リーグ戦再開後の展望を、日刊スポーツ評論家の宮本慎也氏(46)が分析した。

 やはりというか、交流戦はソフトバンク、広島が優勝を争い、西武、阪神といった選手個々の自力のあるチームが上位を占めた。交流戦もおなじみになり、ひと昔前よりデータはそろうようになっている。それでも同一リーグの対戦より、選手の能力勝負になる度合いは高い。当然だが、自力のあるチームが強く、この流れはペナント終盤まで続く確率が高いだろう。

 日本にも“パワー野球”が浸透している。この路線に沿ってチーム作りをしてきたチームが結果を出し、いいキャンプを送っていた。パワーをつければ、技術も向上する。ケガにも強くなり、シーズンを乗り切るための体力強化にもつながる。へばりが出始めるこの時期だけに、その差が交流戦の順位に反映された。

 寂しいのは、古巣のヤクルトと、常勝が義務付けられている巨人の低迷。両チームとも試合巧者のイメージがあるが、パワーの前にねじ伏せられてしまった。巨人は世代交代がうまく進んでいないし、ヤクルトはけが人が続出しているように、ひ弱になったのが低迷の原因だと思う。

 よく勘違いされているが、“ID野球”を掲げたヤクルトの全盛期も、能力の高い選手がそろっていた。広沢さん、池山さんは体格的にも恵まれていたし、細身に見える古田さんもユニホームの下はガッチリしていた。比較的小柄な飯田さんや土橋さんもムッチリした体形で、パワーもあった。そういった能力のある選手が自己犠牲を伴うチームプレーをするから強かった。

 小手先の野球知識は、体力と技術の土台があってこそ、強さにつながるアイテムになる。ヤクルトも巨人も共通点は、小粒な選手が多い点。土台が弱いから、緻密な野球も実践できなくなっている。スカウティングや強化法を見直し、立て直してもらいたい。