2番手・久保裕也投手(37)の快投から勝利を収め、楽天が、勝率差でソフトバンクを抜き首位に返り咲いた。

 久保は同点の6回を託され、1回を無安打2奪三振。移籍後初ホールドをマークした。昨秋にDeNAを戦力外となり、今季楽天にテスト入団を果たした苦労人が、新天地で再び輝きを取り戻した。ベテラン右腕が試合を引き締めると、続く救援投手、福山-ハーマン-松井裕が無失点継投で逃げ切った。西武に2連勝し、貯金は今季最多の24とした。

 久保が、熟練の投球を披露した。同点の6回にマウンドへ上がると、1発のあるメヒアをフォークで3球三振。続く水口を変化球主体の投球で中飛に打ち取り、最後は炭谷も、1ストライクの後に、フォークを2球続けて空振り三振と、完璧なリリーフを演じてみせた。先発の塩見が5回4失点で降板。7回からの福山、ハーマン、松井裕の「勝利の方程式」につなぐ重要な役割を全うし、勝利に貢献した。梨田監督は「今日は久保だよ。流れを引き寄せてくれたね」と最大級の評価を口にした。

 前回登板の反省を、すぐに生かした。7日の西武戦、ピンチの場面で2番手として登板したが、フォークが高めに浮き失点を許してしまった。「僕は速いボールを投げられるわけではない。フォークが高めに浮いてしまったら意味がない」。汚名を返上すべく、自分の生命線、低めに投げることだけに集中し、リベンジを果たした。

 今や、勝ちゲームや接戦では欠かせない存在だ。6月の1軍昇格から10試合に登板し、防御率は1・80。ファームで投球フォームの修整に着手し「今は『ストライクが入らない』と思うことがない」と自信を抱く。昨年DeNAを戦力外となり、入団テストを経て楽天のユニホームを着た苦労人。「1軍で投げられるだけで幸せ。どんな場面でも、与えられた仕事をするだけです」と、再起のチャンスをくれた楽天のために右腕を振り続ける。

 チームは西武との3連戦に勝ち越し、勝率の差で首位に返り咲いた。明日11日からは、敵地でソフトバンクとの頂上対決2連戦が待っている。開幕から35試合自責点0を続け、この日は4勝目をマークした福山は「絶対に点を与えない気持ちで投げる」と、久保ら救援陣との共闘を誓う。もう、首位の座を明け渡すつもりはない。【田口元義】