社会人の意地とプライドがぶつかり合う-。都市対抗野球が明日14日から東京ドームで開幕する。2年連続2度目出場のきらやか銀行(山形市)は15日の1回戦でホンダ鈴鹿(鈴鹿市)と、2年ぶり4度目出場の日本製紙石巻(石巻市)は16日の1回戦でホンダ熊本(大津町)と対戦する。きらやか銀行のエース小島康明投手(24=東農大)は入社3年目。今大会での活躍をステップに、夢のプロ入りを実現させる。

 2度目の都市対抗出場に小島は燃えていた。「エースとして投げるんだから最低でも完投、よくて完封。まずは1つずつ勝っていく」。強気に宣言できるのには理由がある。6月に行われた侍ジャパン社会人代表候補合宿で好投し、つわものぞろいの紅白戦で3回無安打4奪三振無失点に抑えた。「十分に通用した。自信になる」と胸を張って本番を迎える。

 伝家の宝刀でプロ入りの道を切り開く。小島の最大の武器は魔球とも称される決め球チェンジアップ。120キロ前半で右打者に食い込んで沈む。「直球以上に腕を振って、右手の薬指で押し出す」感覚で投げ込む。同じ腕の振りから宝刀チェンジアップを繰り出し、最速144キロの直球との緩急が最大の持ち味だ。2年連続で補強されたJR東日本東北(仙台市)の薗部優也捕手(25)は「右打者には止まって見える」と証言するほどだ。

 社会人3年目となる今年が勝負の年となる。「プロには絶対いきたい。都市対抗で優勝するぐらいに目立たないと」と決死の覚悟で大会に臨む。昨年同様の1勝は当たり前。1つでも多くの勝利を挙げて、名を上げてみせる。【高橋洋平】