プロ野球中日の岩瀬仁紀投手(42)がプロ野球記録となる通算950試合登板を達成した。

 プロ入り時の監督で楽天球団副会長の星野仙一氏(70)は「あいつがいなかったら今の俺はいないというぐらいの存在の投手だ」と高く評価した。

 「5回か6回ですぐにつかまる投手だ」と反対する周囲を押し切り、1998年のドラフト会議で2位指名した。

 「俺は先発で使うと言ってないだろ。あの球をセットアッパー、クローザーにしたら絶対に生きるぞ」。代名詞のスライダーにほれ、救援投手の資質を早くから見抜いた。

 99年の広島との開幕戦、1点リードの6回に投入した。期待の新人は重圧のかかる場面で積極的に使う星野氏ならではの起用。結果は中軸に3連打を浴び、1死も奪えなかった。翌日、星野氏は投手コーチに伝えた。「いい経験をした。あいつは絶対ものになる。使えるチャンスがあったら今日も使うぞ」

 開幕3戦目で2度目のマウンドに上がり1回無失点で終えると、星野氏の言葉通り一流投手への階段を駆け上った。この年65試合に登板して10勝2敗、防御率1・57の好成績でリーグ優勝に貢献。3年間ともに戦った星野氏は「あいつにはいつも助けられた。絶対に欠かせなかった選手。俺は頭が上がらないよ」と賛辞の言葉を並べた。

 「闘将」と呼ばれた星野氏も岩瀬には「怒鳴ったとか説教した記憶がない。あいつの駄目なところはいくら探してもない」と言う。思い出すのは淡々と抑えて戻ってくる姿ばかり。そのまな弟子が偉業を達成し「教え子が記録をつくるっていうのは指導者として本当にうれしいよな。俺は野球人として尊敬するよ」。心からの祝福を込め、穏やかにつぶやいた。