見えたCSファイナルの開幕投手! 広島薮田和樹投手(25)が11日のJR西日本との練習試合に先発し、6回4安打1失点と結果を残した。登板間隔が中17日と空いたことで序盤の投球には課題が残ったが、中盤以降は本来の投球でねじ伏せた。最後の調整登板を91球で終え、18日からのクライマックスシリーズ・ファイナルステージ(マツダスタジアム)に向かう。

 イニングを重ねるごとに、徐々に感覚を取り戻した。本来の力が戻れば、7月の都市対抗野球にも出場したJR西日本でも、薮田の相手ではなかった。シーズン最終登板から中17日で練習試合に先発。球の威力、切れが増した5回、6回はいずれも3者凡退。球数91球を投げ抜き「感覚的に良かったと思います」と調整登板を終えた。

 序盤は探りながら投げた。登板間隔が空いただけでなく、球場の雰囲気も違った。練習試合のため無観客。音がない中、マウンドから見える景色も違った。「スピードが出ていなかった」という影響もあった。2回1死一塁から死球でピンチを招き、下位打線に適時打を浴びた。3回も先頭の9番打者を歩かせるなど2四球と制球が乱れた。

 それでもこの日、フォームをワインドアップではなく、ノーワインドアップに変えたことで次第に安定した。持ち味の直球が走ると、ツーシーム、カットボールもさえた。「次に向けて課題はある。やっぱり四球と死球」。試合後は反省を口にした。大一番へ向けた最後の調整登板で一定の結果を残し、課題が見つかったことはプラスでもある。

 1週間後のクライマックスシリーズ・ファイナルステージ初戦先発が濃厚だ。昨年のポストシーズンはメンバー外。今春キャンプも1軍当落線上で、開幕ローテ入りも野村のアクシデントから巡ってきたものだった。そこから2桁勝利をマークし、最高勝率のタイトルまで獲得。今やポストシーズンの“開幕投手”候補だ。

 急成長右腕に緒方監督は「内容は見ての通り。あまり良くなかったね。(初戦先発は)まだ分からない。決定ではない」と厳しく評価して、報道陣をけむに巻いた。今日12日、練習試合先発の野村らと争うことになるが、日程的に“開幕投手”は決定的。この日の課題を克服できることは、今季の薮田が証明している。【前原淳】