胃がんからの復帰を目指す広島赤松真人外野手(35)が8日、広島・廿日市市の大野練習場で契約更改交渉を行い、減額制限いっぱいの25%ダウンとなる900万円減の年俸2700万円でサインした(金額は推定)。交渉を終えると「野球が出来る喜びが一番です」と表情を崩した。減額制限いっぱいの提示にも、すぐにサイン。「病気をしているし、普通だったら…。ありがたいです。お金じゃない」と感謝の言葉を並べた。胃がん切除手術から約10カ月。現在はマシン打撃をこなすまでに回復している。

 来季について問われると、迷いなく言った。「2軍で結果を残して、1軍に上がる。活躍して勝利に貢献したい」。練習に復帰した当初はぼんやりしていた目標も、今はクリアになってきた。回復具合は「50%」としながらも、2軍に同行し、打撃投手の球を打つなど順調に段階を踏んでいる。「焦らないように、出来るけどセーブしながらやっています」と語る表情は明るい。

 手術、抗がん剤治療、リハビリなど、激動の1年。振り返りながら「終わってみればあっという間。しんどさも忘れている。でも野球がしたい、と強く思っていたときの気持ちだけは忘れていない」と力を込めた。球団は戦力として期待をかける。交渉にあたった山根ファーム管理課長は「契約するからには来季の戦力。野球が出来る喜びと、戦力として。希望にもなってほしい」。ファンに果敢な姿を見せるため、赤松の挑戦は続く。【池本泰尚】