プロ3年目のシーズンは、手応えよりも悔しさの方が大きかった。

 西武佐野泰雄投手(24)は5月13日に1軍に昇格。先発ローテーションの一角を託され3勝(1敗)をマークした。しかし、6月17日中日戦の1回に左膝に違和感を訴え緊急降板。外側半月板損傷で手術を受け、その後のシーズンはリハビリに費やした。「(チャンスを)つかみかけたところでのケガ。切り替えるしかなかった…。来年は絶対、今年の分を取り返したい」と覚悟を決めている。

 患部はブルペンで立ち投げができるまで回復。オフは「体を一から見直して、前よりもいいフォームで投げられるようにしたい」と、肉体と技術の両面に磨きをかける。

 昨年12月には、日本サッカー協会が展開する「こころのプロジェクト」の一環として、生まれ故郷タイのバンコクにある日本人学校を訪問。教壇に立ち「つらいときにどう頑張ればいいか」というテーマで、大けがと向き合った自身の経験などを伝えた。タイを訪れたのは中学3年以来。プロ野球選手として、初めて戻った故郷で子どもたちと触れ合い、感慨とともに刺激を受けた。

 球団も菊池に次ぐ先発左腕として期待を寄せる。試練を乗り越えた男は、悔しさをバネに開幕ローテ入りをつかみ取る。【西武担当 佐竹実】