手術なんかに負けるな! ソフトバンク甲斐拓也捕手(25)が、本拠地の打席登場曲に使用する「負けてたまるもんか」を歌う歌手ぱんち☆ゆたか(30)に激励のメッセージを送った。

 ぱんちは11日にのどにできたポリープを除去する手術を受ける。そのことを知った甲斐が感謝と応援する気持ちを直筆で書き込んだ。

 ベストナイン、ゴールデングラブ、日本一。正捕手へ急成長した昨季、17年シーズンをともに戦ったのが「負けてたまるもんか」だった。ヤフオクドームで甲斐に打順が回ると「越えてく 負けてたまるもんか 負けてたまるもんか あの日のお前の涙は無駄じゃないんだよ…」とぱんちの澄んだ歌声が響いた。

 甲斐は「1軍にほとんど出られなかった(16年までの)6年間の僕の思いが、ズバッと歌詞に出ているなと思って選びました」。メジャーデビューしていないぱんちの存在を動画サイトで知った。歌詞に自分を重ね合わせ、はい上がり正捕手の座をつかんだ。

 そんな心の友が、11日にポリープ除去手術を受けると知った。「のどは商売道具ですからね。僕で言う右肩、もしくは右肘。僕は手術を受けたことはないので、怖いだろうなと本当に思う。無理せず、時間をかけてまた、あのものすごくいい声を聞かせてほしい」と話しながら『いつも元気をもらっています この歌にたくさん助けられてます これからも一緒にがんばっていきましょう』と書き込んだ。

 甲斐からのメッセージを受け取ったぱんちは「本当にうれしい。病室に飾ります」と感激した。通常のポリープとは違い、声帯の根元にできたため、手術をすると声の質が変わってしまう危険もあるという。「不安ですが、歌を歌い続けるための手術。まだ直接お会いしたことがないので、元気な姿で今シーズン中にお会いできれば」と初対面することを楽しみにしていた。1週間の入院中はしゃべることもできない。1カ月活動を休止後、復帰へ歩み出す。曲に励まされてきた甲斐が、今度は自分のプレーで励ます。【石橋隆雄】

 ◆ぱんち☆ゆたか 1987年(昭62)8月1日、岡山県生まれ。中学では野球部に所属し遊撃を守った。「YUTAKA」として歌手デビュー。事務所の社長から「名前にパンチがないからパンチパーマにしてこい」と言われ、短ラン衣装の「ぱんち☆ゆたか」となった。路上ライブを中心に全国をまわっている。